「おはようございます、九条いる?」
テレビ局の楽屋の扉を叩いたのは三月だ。
「どうぞ。おはようございます。どうしたの?」
今日天はグループではなく単独の仕事のため、楽屋も1人で使っている。先日発売されたRe:valeが表紙を飾るファッション誌をソファで読んでいた天は、顔を上げて扉から入ってきた三月を目に捉えた。
「福岡ロケ行ったからさ、お土産。」
三月はにこっと笑って大きな紙袋を掲げてる。
「たくさんあるね、配り歩いてるの?」
「ううん、全部お前の。」
三月の答えに天は目を見開いた。
「全部?」
「九条好きそうだなー、これも好きそうだなって思ってたらたくさん買ってて。荷物になるよな、ごめん。」
なんてかわいい理由。しゅんと頭を下げる三月に天はくすりと笑った。
912