天ふみ 初夜の翌日の話ふみやさんの声が出なくなった。
風邪、ということにしている。住人達は体調の心配をしたり、あんなソファーで寝るからだとぼやいたり、様々な反応を見せる。
が、本当の理由を知っている僕はきっと複雑な表情を浮かべていただろう。
唐突だが、ふみやさんと僕はお付き合いをしている。要らない気を遣わせては申し訳ないと、ハウスの皆さんには秘密にしているが。
お付き合いを始めて一年が経つものの、所謂大人の関係というものは持っていなかった。ふみやさんが未成年だったからだ。幾度となく繰り返される誘惑に耐え、早く手を出せという圧に耐え、屈しそうになりながらも何とか乗り切った一年間。天彦、本当によく頑張りました。
――そう、乗り切ったのだ。
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