夢魔 自分の荒い呼吸音でゆっくりと目を開く。酷く暑い。身体が寝汗で濡れているのを自覚するものの、やたらと生々しい夢の余韻が引かず手を動かすことができない。
眠りに落ちる前、割と涼しかった気温は既に熱帯夜と呼べるそれになっていて、これがあの夢の原因だと悟った。寝苦しい時にアイツの夢を見るのは昔からだが、最近じゃその内容も変わってきている。それに心底呆れ果てながらも、夢の中でまで求められることに不思議と悪い気はしなくて。
突然覚醒したせいか、眠りに置き去りの頭が夢と現実の境界をぼかす。そのせいでまだすぐそこにアイツがいるような気がして、夢の中でかけられた声と、身体を嬲られる感触が目が覚めた今も脳の中で反芻されていて、寝起きだと言うのに心拍数が上がる。
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