白妙佳の話
私の星では人を恨むことは醜いとされた。
素晴らしい生き物だと思う。誰も憎まず、植物だけを食い、他の生き物の喧嘩を止める。余りにも大きいので、時々小さな生き物の住処にもなる。怒らないわけではない、悲しまないわけではない、ただ強く誇り高く優しい「怪獣」だ。
私は他の怪獣の何倍も小さく産まれた。寧ろ怪獣じゃなかった、その権利が無かったのだ。皆の持つ心臓部(コア)に比べて私には大切な切り替え装置が付いていなかった。母は微笑んで言った、その未熟さが意味を持つ日が来ると……
その日はすぐに来た。ブルーのコアを結晶化させるウイルスが他生物によって撒かれたのだ。私には効かない、私のコアは不完全で欠けている。
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