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    ほまれ

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    ほまれ

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    舞の姉、白妙佳が星に居た頃の話。

    白妙佳の話
     私の星では人を恨むことは醜いとされた。

     素晴らしい生き物だと思う。誰も憎まず、植物だけを食い、他の生き物の喧嘩を止める。余りにも大きいので、時々小さな生き物の住処にもなる。怒らないわけではない、悲しまないわけではない、ただ強く誇り高く優しい「怪獣」だ。
     私は他の怪獣の何倍も小さく産まれた。寧ろ怪獣じゃなかった、その権利が無かったのだ。皆の持つ心臓部(コア)に比べて私には大切な切り替え装置が付いていなかった。母は微笑んで言った、その未熟さが意味を持つ日が来ると……
     その日はすぐに来た。ブルーのコアを結晶化させるウイルスが他生物によって撒かれたのだ。私には効かない、私のコアは不完全で欠けている。
     そう、欠けていればウイルスを避ける事が出来るのだ。怪獣達は自分の子供達のコアを壊し始めた、より長く生きてもらう為に。そしてその子達を「方舟」に乗せた。方舟には王とその妻、そして子供達のみが乗っていた。
     私は母が弟のコアを壊す事も、ツノ飾りを交換する程の親友が、王のお嫁に選ばれる事も黙って見ていた。私には皆と同じ様な生き方をする資格がないのだから。
     500光分先にに青い星が輝いている。その星は今の言葉で言うならば「地球」。私達の大罪は此処に始まる。

     私は皆が死んだ後、この星をただ黙って眺める事にした。水車もダムも巨大過ぎて私には扱えない、時が過ぎると全て水に洗い流された。
     恨めば良かったのに人間のように戦争をすれば良かったのに。プライドの為に殺されては頭が弱いとしか思えない。
     強い種が勝ち弱い種が淘汰される、素晴らしい事だと私は思う。まぁ、終わりは無さそうだが。

     地球で子供たちはすくすくと育ち始めた、もうこの星は必要ないだろう。私も弟を見つけた、新しい名前も手に入れた。地球は面白い、数十年しか生きない個体が次々と進化を続ける。
     でも、地球人と共存することは出来ない。だって私達は…………
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