その日、バーソロミューは珍しく暇を持て余し、気分の向くままあてもなくカルデアの廊下を歩いていた。
約三百年前に死に、現世にサーヴァントとして顕現してなお、バーソロミューの生業は海賊である。初めは水夫として船に乗り出して以降、人生の大半を海の上で過ごしてきたバーソロミューは、多趣味であることを自認していた。
生前では、一冊の本を何日も繰り返し読み、一杯の紅茶を半日かけて味わい、強奪した宝石はどれだけ時間をかけて鑑賞しても飽きることなく、時折マストに出ては星の小さな瞬きや、月が隠れ、太陽が徐々に昇っていく様子を眺め続けたものである。当時の娯楽は限られていたものの、バーソロミューはそれもまたよしと思い、手持ちの全てで存分に楽しんだのだった。
1099