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    コノキラ。
    エルドニア戦後、ミレニアムに戻ってきてからの。

    SS(コノキラ)「動かないでっ」
    マリューの鋭い声にアーサーが相変わらずの慌てぶりで両手を挙げる。
    それに答えたのはハインラインだった。
    「僕の計算より2分遅かったですね、ヤマト隊長」
    そして続く落ち着いた声。
    「出航準備は整っております。その物騒なものは必要ありませんな」
    驚き、マリューは銃を下ろした。
    ……どうやら、読まれていたようだった。



    怒っているだろうか、呆れているだろうか。
    キラはちらり、と右後ろに視線を向ける。
    侵入し、ブリッジでマスク越しに見た時は変わらなかったようだったけれど。
    コノエは簡単にやられるあなた方ではないでしょう?と言い、ハインラインはインジェクションアタックの仕方が准将のクセそのものでした、と言う。
    マリューたちと顔を見合せ、着替えてから改めて頭を下げ、協力を仰いだ。
    その後、作戦会議を行い、今ミレニアムは宇宙へ上がった。
    話す暇もなくて、同じブリッジにいるものの落ち着かない。
    とりあえずファウンデーションを煽り、オーブからレクイエムの照準をずらす事には成功した。
    一か八かだったけれど。
    人を煽るなんてことしたことなくて、不安だったがなんとかなった。
    次にキラがやることといったら宇宙での戦闘に備えることだ。
    フリーダムは一応アスラン用にOSは弄ってあるが、もう少し調整しよう。
    とりあえず落ち着こう。
    シートベルトのランプが消えてから立ち上がる。
    「パイロットスーツに着替えたらもう少し機体の調整してますね」
    「わかったわ」
    大丈夫?と心配してくれるマリューの瞳に頷き、キラはブリッジを後にした。
    次いで動いた気配にももちろん、気がついたがそのまま移動する。

    そうして。

    横道に入ったキラの横を「彼」が通り過ぎたあと、その背中に追いすがり体を預けた。

    「……どうされました?」
    低い、心地の良い声が聞こえる。
    それだけでぶるりと震えた。
    どっちだろう。
    怒っているか、呆れているか。
    それとも。
    「あの、かん、ちょう……」
    話したかったが、いざ会えば何を話せばいいのか分からずキラは俯いたまま言い淀む。
    コノエはキラの腕を掴むとすぐ隣の部屋に入った。
    流れる動きでロックをかけ、毎日絶やさないストレッチと筋トレで培われたしなやかな胸の中にキラをおさめた。
    「艦長……?」
    「無事で、よかった……」
    どこか震えたコノエの声に、キラはあぁ、と涙が出そうになった。
    怒っているわけでも呆れているわけでもない。
    心配、してくれていた。
    「ごめん、なさい」
    「あなたが、あの程度でやられるとは思っておりません。ですが、それとこれとは別だ」
    抱きしめる腕に力を込めてコノエが言う。
    死んだ死んでない、ではなく。
    体にも、心にも傷を負ったであろうキラを、心配しないわけがなかった。
    会って顔を見て抱きしめるまで。
    生きた心地はしない。
    アークエンジェルを失った今、必ずキラたちはミレニアムにアタックを仕掛けるだろう。
    それはほぼ確信だったけれど、不安がないわけではない。
    もし、もしもう二度と会えなければ。
    完全に秘匿されたこの存在をどう探し出せればいいのか。
    コノエには分からなかった。
    「キラ」
    「ん……」
    軽くキスをして、再会した時に気がついたことを聞く。
    「頬が腫れています」
    それに、あ、という顔のキラ。
    しまった、に変化したが見逃す気はない。
    戦闘時に打ったとはこの反応から違うと言えた。
    「えぇ、とアスラン、に……」
    少し殴られました、と白旗をあげる。
    「ザラ一佐にですか?」
    「はい」
    少し意外だった。
    アークエンジェル組はキラという青年に対して気心知れた甘え合いがあるのは分かっていたが、アスラン・ザラという男はその筆頭だ。
    小言をよく言っているが、それは全てキラへの愛情だと感じられるものばかり。
    そのアスラン・ザラがキラを殴ったというのか。
    「ついでに蹴られました」
    はは、と笑うキラはけれどどこか吹っ切れているようで、そういうことかと理解できた。
    「……よい、友達を持ちましたな」
    「そうですね。でも悔しいので僕ちょっと鍛えようと思って」
    「キラがですか?」
    「似合いませんか?」
    「お手伝いしましょう」
    「艦長が?!」
    「私とて毎日鍛えてますよ」
    こんな風に、とキラを抱き上げる。
    ひぁっと小さく悲鳴が聞こえた。
    「貴方をいつでも抱けるできるように」
    「……うぅっ」
    恥ずかしいのかキラは両手で顔を覆う。
    それにクスリと笑うと、顔を見せてください、と告げた。キラは少し戸惑いながらもアメジストの双眸を覗かせる。照れた様子は変わらず可愛らしい。
    両手はキラを抱き上げているため、その腫れた頬に唇を落とした。
    「ひゃっ」
    「……よい友達ですが、どんな理由であれ貴方に手を挙げたことは許せませんな」
    「あ、いや、あの……」
    「今度仕返ししないといけませんなぁ」
    「………………あの、程々に……」
    僕も悪かったから、とか細く訴える。
    けれど全身で甘やかしてくれるこの大人な恋人の言葉が嬉しい。
    何があっても味方をしてくれる。
    以前彼に弱音を漏らしたことがあった。
    自分は間違っているのかと。
    そして彼は言った。
    例え間違えたとして、それが誰かに非難されたとして。
    そう分かっていながら、それでもあなたがその道を進むなら、私は貴方の傍に居続けますよ、と。
    離れることはしない、と。

    「艦長」
    「なんですかな」
    「……ただいま」
    「おかえりなさい、キラ」

    コノエの首に手を回して、また軽くキスをした。






    それから数ヶ月して。
    再始動したコンパスの食堂には連日青魚が並んだという。
    むろん、アレルギーのある者には裏ルートで別メニューを用意して。
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