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    syunenmei5

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    syunenmei5

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    5⃣2⃣ムルグレ
    あ、

    あ、キス、される。
    その手の勘は本当によく当たる。

    すぐそこの碧眼がじっと見つめて、その色に感情が滲んで、それから、顎をく、と押されて。
    あ、と思った時には熱い舌を迎え入れている。
    見た目よりも高い体温に背中を、腰を包まれて、彼の思うがまま。
    じっくりと。じっくりと。
    舌を絡ませながら散々好きにしたと思えば少し焦らして、呼吸の限り弄ぶ。
    レンズ越しではない碧色が綺麗だ。なんて思いながら浸るこの行為が密かに好きだ。
    キスもそうだが、至近距離で見えるこの色が、とても好きだ。
    やがて離れる唇に寂しさを覚えつつ、すっかり火照った頬を手で仰ぐ。表通りに出る前には冷まさないと。
    そんなひとの努力を、センク協会三課様は簡単にぱぁにしてくれる。
    何も言わず抱きしめられ、頭に吐息のようなため息がぶつかった。

    「……このまま、離したくない」

    貴方といたい。
    ぎゅうと抱きしめながら告げられる想いに心臓が爆音を上げる。
    顔から火が出そうだ。
    彼からの素直な想いはいつも真っ直ぐで、回りくどいことをあまりしない。ゆえに想いを向けられる方はいつも翻弄されてしまう。彼が好きだから。
    いつまで生娘のようなことと思うなかれ。これでもどうにか慣れようとしたのだ。
    結果的にそれでも諦めざるを得なかった。そのくらい、彼のことを愛してしまっているのだろう。

    ……離れたくないなぁ。

    「……そろそろ時間だろ。行ってこい」

    けれどしかし、時間と仕事はそれを許してはくれない。
    彼の胸を押して温もりから離れ、笑ってみせる。

    「今日はそこそこ強敵だったか。気張っていけよ?」
    「……相手が誰であれ、いつもと同じように相手をするだけだ。私の剣技は変わらない」

    淡々と答えるムルソーに笑みが深まった。
    そこには深い愛情を向ける恋人ではなく、これから決闘に臨む者がいる。
    ああそうだ。お前はそうでなくては。

    「勝ってこい」

    きりりと引き締まる碧にエールを。

    「貴方に、今日の勝利を誓う」

    天を突く銀に祝福を。
    勝者への花束は用意していないけど、ご褒美のキスはここに用意して待ってるよ。
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