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    syunenmei5

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    syunenmei5

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    ⑤②ムグ 抱擁

    「え、わっ」

    家に入るなり抱きついて来た恋人。
    急すぎて思わず押し返すも一層強く抱き寄せられる。
    勿論、彼を拒否したかったわけではない。ただびっくりしただけだ。

    「ムルソー?」
    「……」

    ぎゅうぎゅう抱きしめたまま無言を貫く。
    どうしたのだろう。今日の決闘で嫌なことでもあったのだろうか。

    「……疲れたか?」

    確信の無いやんわりとした勘で言ってみる。
    すれば上の方にある頭が僅かに動き、肯定を示した。

    彼は誰よりも真っ直ぐで、求めるものに対して非常に貪欲だ。
    それは強さであったり、理想であったり、……俺、であったり。
    その道のりは決して楽ではなく、当然疲れもするだろう。人間だから当然だ。

    彼の背中に手を回す。抱きしめ返して、もっと体が密着するように。
    彼曰く、俺を抱きしめると癒されるらしい。こんなおっさんなんか抱きしめて何が面白いのか理解できないが、吐息混じりにそう言われてしまえばそれ以上反論できなかった。
    だから彼が疲れたというのならいくらでも抱きしめられるし、抱きしめ返す。彼に俺ができることならしたい。

    「……グレゴール」
    「んー?」
    「…………ありがとうございます」

    降りてくるささやかな感謝。
    本当に真面目なやつだ。
    だから惹かれるんだが。

    「別に、なんてことないさ。気が済んだら着替えて、ゆっくり夕飯にしよう」

    広い背中を撫でてあやす。
    なら、もう少し。
    素直で可愛いわがままに建前だけの苦笑をして、仕方ないなと抱きしめた。
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