頬に触れる。
滑らかで温かい。
それから目元へ。
ああ……また無理してるんだな。
あと、唇へ。
柔らかい。
あ。
「ん」
太い腕に腰を引き寄せられてキスを受ける。
触れて、ちろと軽く舌でつつかれるだけの軽い触れ合い。
柔らかな唇が俺の下唇を食み、そっと離れた。
真っ直ぐに視線を注ぐ深緑から目が離せない。
夏の木陰を思わせる色が、俺を心臓まで想いで貫く。
俺を。俺だけを映している。
そう思った途端、胸の底から湧き上がってきた羞恥から視線を切ろうとして、失敗した。
今度は彼の指が唇に触れたから。
熱い指先。
瞳の奥で燻る情の炎が俺の鼓動を早めていく。
これだけくっついていればきっと伝わってしまっているだろう。
それが無性に恥ずかしく、でも、誤魔化すなんてこともできない。
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