花火を思い出すあれ、ここどこだろう。
気がついた時には知らない場所に座り込んでいた。
辺りは薄暗く、よく目を凝らす。
どうやらここは川辺のようで、ふさふさした草の感触が指先に触れた。
どこか懐かしいような、不思議な感覚だ。
周りを見渡すが、人らしき影はどこにもいない。
ズドーン!!
突然大きな音が聞こえたと共に、僕の視界は辺り一面に広がる光に包まれた。
花火。花火だ。
ヒューンという音を出しながら、僕の前に現れたそれ。
懐かしさの正体は魔界に来る前、いつか見たあの光り輝く花火の景色だった。
「きれい…」
自然と声が漏れた。
確かにあの頃見た花火を思い出すものの、それよりも余程豪華というか、手が込んでいるなと思った。
僕はそんな花火に目を奪われた。
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