六話 鴉 複数人の男たちは配達員に向かって鉄パイプや警棒といった武器を振りかざして特攻する。
夕方よりも人数が多く、大丈夫だろうかと不安になるが、配達員はあせった感じもなく落ち着いた様子でゆっくりと歩く。
「この、調子に乗りやがって!」
男の一人は配達員の脳天に向かって鉄パイプを振り下ろした。それと合わせるようにほかの男たちも各々の武器を配達員へ向けて攻撃する。
「……」
さすがにあの攻撃の量はさばけないだろうと内心思ったが、配達員は脳天に振り下ろされた鉄パイプを素手でつかんで強引に奪い、他の攻撃を奪った鉄パイプではじいた。
「何!?」
武器を奪われた男は目を見開いて数歩後ろに下がる。
「武器はしっかり持ってないとだめだぞ。こんな風にな」
5173