しもべにするか見定める。言われた赤鬼が招かれたのは、並んだ食事の席だった。
なぜ食事なのかとは思ったが、取り取りの料理を前にすると、すぐにどうでも良くなった。相性の良い酒に、見たこともないような珍味まで。口にするたび、思わず感動の声が漏れてしまう。そんな様を見ている魔王は、時折小さく笑いながら、ていねいに箸を進めている。
平らげた夢見心地に浸っていれば、合格だ、の一言に引き上げられた。
今のどこがどう合格だったのか。かねてからの疑問を口にすると、彼は箸先から上げた目を細める。
「膳を残さない。それだけで十分だよ」
食べ方はあまりよろしくはなかったが。付け加えられた指摘は、酒の甘味で誤魔化した。
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