「オロロソさまって兄貴なのか?」
抵抗軍への対策、その会話を聞かれていたのだろう。顔を見るなり聞いてきた赤鬼に、「それがどうかした?」と逆に問う。
「魔王で兄貴って……鬼かっけェなあ!」
「意味がよく分からないんだが……」
目を輝かせている彼曰く、年長者とは指導者であり、ゆえに強いものらしい。だからこの魔王は強いのだと、そう褒めているのだろうか。
あるいはそんな風に、と思う。なにもかもが絡んでしまったならば、いっそ一まとめにして、ただ沈めてしまえば良いのだと。
「鬼かっけェから、鬼兄貴って呼んでもいいか?」
「それはやめてほしいかな」
うな垂れた顔に苦笑で答えながら、ふと、覚えのあるくすぐったさを思い出した。