恐る恐る重みを掛けてきた肩は、手の平を添えたところで、石のように固まった。
「そう縮こまるでない。前はよくこうしてやったではないか」
「み、みどもはそのようなことは……!」
膝の上のアズミはまだ、寄り掛かる心地にどぎまぎしている。これではまるで、背伸びを覚えた子供のようだ。あるいは自分も同じかもしれないと、ほほ笑みで自嘲に蓋をする。
マヨリは禁忌の力に手を触れた。だが、こうして守りたいものがある限り、決して力には呑まれない。守られていた自分はもう、守る側に立っていたのだと、乱れてしまった髪をすく。
沈む呼吸と共に、またたきが重さを増した。そっとのぞき込んだ目に、思い描いた平穏と、まだ見えない水底を見る。
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