体育教師×養護教諭 修帝.
滑らせた戸が端に到達した音が思いの外大きかった。その拍子に驚いて弾かれたように立ち上がる男子生徒が自分の通学鞄を慌てて抱きかかえる。
「おい、帝釈天」
入室の挨拶もなく中に堂々と入ってくる大男に圧倒されて身体を強張らせた生徒は縮こまった背を緊張させたまま、体当たりして怪我を負うことがないよう電柱を避ける要領で小走りに横を通り過ぎた。
「し、失礼しました。帝釈天先生」
「ああ。また来たい時に、いつでもおいで」
話が済んでちょうど帰るところではあったのだが。心穏やかに立ち去るはずだったのにと生徒に対し申し訳ない気持ちになる帝釈天は原因の男を恨めしそうに見上げる。
自分の背丈を大幅に越える相手を間近で見上げる勇気もなかったようで彼とは目を合わせず生徒は一礼だけして退室した。
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