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    nicola731

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    狩零「ヒルコは産まれなかった」R-15くらいのはず
    https://fusetter.com/tw/hNgoKUGC
    道満の同一カプ狩零をiPhoneで落書き。零臨はカントボーイ。

    #狩零
    huntingGround

    近畿のとある国司には恐ろしく醜い三男坊がいる。三男坊は気狂いの色狂いで、猿のように日頃から欲を持て余しては吐き出す先を求めていた。血筋は確か、家も豊かという申し分無い身分ではあるが、三男坊は本当にぞっとするほどに醜かった。縁談の話をしようにも娘は彼の名を聞いただけで卒倒し、家の繋がりが欲しいはずの相手方も尻込みをする始末だった。
     家督を継ぐわけでもない三男坊を父母は愛さなかった。兄達も、使用人でさえ彼を嘲り罵った。そうして、孤独のまま迫害され続けた三男坊はついに発狂したのだった。


     国司の所領には尼寺があり、そこにいる年若い一人の尼が絶世の美貌によって名を広めていた。年はまだ十五、六でありながら心は清らかな乙女であり、真摯に修行に励んでいた。
     三男坊は尼寺へ無理矢理押し入り、その尼を攫ってしまった。三男坊は尼を邸の蔵に閉じ込めた。そうして泣き叫ぶ少女を犯して孕ませてしまった。両親は三男坊を打ち殺そうとしたが、成長して巨躯と怪力を身に付けた息子を殺すことは叶わず、仕方なく黙認した。
     尼が発狂した頃に腹の子供は産まれた。双子だった。不思議なことに片方は女の性器が付いていた。三男坊は「雄雌一匹ずつ手に入った」と喜んだ。狂い果てた尼は暫く双子に乳を飲ませていたが、ある日正気を取り戻すと井戸に飛び込んで死んでしまった。
     三男坊は己より醜い生き物を作り出したかった。血統を汚し、家族の汚点が自分だけでは無いと思いたかった。その目論見は上手くいかなかった。産まれた双子は彼等を産み落とした母のように美しく、また賢かった。
     三男坊は怒り狂い、より血を濃くして醜い子を産み出そうとした。幼い頃から双子に交合うよう教育した。双子も血の繋がった互いしか信じず、発情しなかった。双子が成長すると目を見張るようなその美しさに家の人間達は気付いた。彼等は双子を正当な子として迎え入れた。
     男性性が顕著なほうを兄とし、家督を継ぐ予定である長男の養子とした。女陰のあるほうは妹とされ、その体のこともあり在家の尼とすることになった。母と同じ道に進むことになって妹は喜んだ。父親である三男坊は怒り狂った。
     そしてとうとう三男坊は我が子を犯した。まだ未成熟な娘の胎を犯した。醜い分身を産み出そうと躍起になっていた。「ててさま」と呼ばれたところで、止まることは無かった。
     三男坊が射精する前に、双子の片割れがその首を刎ねた。刀を使わずただ「死ね」と叫んだだけで。


     父親である三男坊が死んだ後も双子は互いを求め合った。同じ顔であることから、「道満」という名を与えられたのは時期家長となる長男の嫡子のみだった。尼となる片割れには与えられなかった。二人はどちらが兄なのか姉なのか、弟なのか妹なのか分からなかった。なので互いを「兄上様」「姉上」「弟」「我が妹」と呼んだ。
     二人とも美しく賢く育ち、お互いにだけ欲情した。家族は何も言わなかった。双子が人間離れした力を持っていることが分かっていたからだった。その内に双子の片割れは元服し狩衣を纏うようになった。もう片方も尼となり、頭巾と法衣を身に纏った。それでも双子は番うのをやめなかった。血が近ければ近いほど、それに伴う快楽と肉体の相性は素晴らしく良かった。
     少しして妹が孕み、三つ子を産んだ。三つ子はどの子もまた美しかった。双子の祖母に当たる嫗が「畜生腹が」と陰で罵った。その後、嫗は熱病に罹り悶死した。
     双子はいつまでも互いを愛し合い、子供達もまた父母を求めた。麗人一家はそうして幸福に愛し合っていた。

     国司の任期が終わり、一族は都へと戻った。双子達にとっては初めての京だった。狩衣に身を包み、昇殿を許された兄は豊かな才を認められた。
    「おや、見ない顔ですね」
     輝きは星の如く、激しい陽射しのように際立つその男に出会うまでは。
    「初めまして、安倍晴明と申します」
     道満はその時初めて、他者を恐ろしいと思った。人間のようには思えなかった。
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    nicola731

    DOODLE狩零「ヒルコは産まれなかった」R-15くらいのはず
    https://fusetter.com/tw/hNgoKUGC
    道満の同一カプ狩零をiPhoneで落書き。零臨はカントボーイ。
    近畿のとある国司には恐ろしく醜い三男坊がいる。三男坊は気狂いの色狂いで、猿のように日頃から欲を持て余しては吐き出す先を求めていた。血筋は確か、家も豊かという申し分無い身分ではあるが、三男坊は本当にぞっとするほどに醜かった。縁談の話をしようにも娘は彼の名を聞いただけで卒倒し、家の繋がりが欲しいはずの相手方も尻込みをする始末だった。
     家督を継ぐわけでもない三男坊を父母は愛さなかった。兄達も、使用人でさえ彼を嘲り罵った。そうして、孤独のまま迫害され続けた三男坊はついに発狂したのだった。


     国司の所領には尼寺があり、そこにいる年若い一人の尼が絶世の美貌によって名を広めていた。年はまだ十五、六でありながら心は清らかな乙女であり、真摯に修行に励んでいた。
     三男坊は尼寺へ無理矢理押し入り、その尼を攫ってしまった。三男坊は尼を邸の蔵に閉じ込めた。そうして泣き叫ぶ少女を犯して孕ませてしまった。両親は三男坊を打ち殺そうとしたが、成長して巨躯と怪力を身に付けた息子を殺すことは叶わず、仕方なく黙認した。
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