「__________西北、山、猪、白、巨大、氷雨、つまりは戌亥、六白金気、山、巨大、白、亥、壬。これらの特徴は伊吹山の猪と完全に合致する事から山の神の属性について明らかになるという訳だ。定刻だ……本日の講義は以上」
やや斜めに傾いた陽光が差し込む陰陽寮に講義の終わりを告げる陰陽博士の号令が響いた。
「カカシ、お前は残りなさい。次の雷除大祭の手伝いを頼みたい」
巻子を巻き上げる者や席を立ち急ぎ帰りの準備をする者のいる中、博士は一人の得業生を呼び止めた。
「はい」
カカシ、と声をかけられた青年は薄い笑みを浮かべたまま澱みなく一つ返事をする。その様子を見た他の学生達は嫉妬の眼差しを隠すことなく向ける。
「またお声がけか」
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