ダイスケが耳かきしてもらう話ダイスケはよく耳かきをする。
毎日するのは良くないだとか、1ヶ月に1回で良いなど日本にいた頃は両親に口酸っぱく言われていたが、今はタルパ号の中、宇宙を漂っているのである。
耳かき好きなら一度は通る道である、誰かに耳かきをしてもらいたいという欲望をもちろんダイスケも持ち合わせていた。
地球にいた頃に、いわゆる耳かき専門店のようなところに行こうかと悩んだこともあったが、ネットの大半のレビューが耳かきより女性店員に膝枕をされることについての言及であり、求めているものと違うなと感じたため実際に行ったことは無かった。
タルパ号に乗り込んではや数ヶ月。
ダイスケは同じ船に乗り込んだこのメンバーのことが大好きだった。同い年の人もいなければ、同郷の人もいないが、寧ろこのチグハグさが心地良さを生んでいるとさえ思っていた。
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