知らない君 ハーレー・ソーヤーという男は気難しく、いつも不機嫌な顔をし、誰とも群れず、それでいてあらゆる教科のトップスコアを叩き出していた(ただし運動に関しては平均並みだ)。私レイス・ピエールにとってハーレーはまさに目の上のたんこぶ、と言ったような状態だった。今も昔も……。
ある年のこと、聞くところによると彼はプレイタイム社というおもちゃメーカーの創業者が企画したプログラムに応募し、見事に合格を得たという。後年に私がプレイタイム社に入社したのはこれがきっかけのように思う、腹立たしいことだが。彼のせいで私はいつも二番目だった。ハイスクールを卒業するまでそれは変わらなかった。私はずっと追い越せない背中を追っていた。
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