Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    yuzuo

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    yuzuo

    ☆quiet follow

    Xに画像で載せてたやつ

    ##悪魔と契約者

    スラムの朝 三人の子供たちが暮らす崩れかけた小屋の隙間から、朝の光が差し込んでいた。
     ガラドは目を覚ました瞬間、手のひらに鈍い痛みを感じた。昨夜、逃げる途中で転んだせいだ。見れば、薄汚れた布が簡単に巻かれている。
     (……そっか。スーリャが手当てしてくれたんだっけ)
     彼女の細い指が、昨夜器用に布を結んでくれたのをぼんやりと思い出す。
     「おーい、起きろー!」
     ダンの元気な声が響いた。彼はすでに立ち上がり、狭い小屋の中を動き回っている。
     「朝だぞ、朝! ほらガラド、スーリャ! さっさと起きねえとまた誰かにゴミ漁りの先を越されるぞ!」
     「……うるっせぇ~」
     ガラドは頭をかきながら体を起こした。
     「ったく、朝から元気すぎだろ」
     「そりゃな! 今日は祭りの準備が始まる日だぞ!」
     「祭り?」
     スーリャが目をこすりながら、ゆっくりと身を起こす。
     「おう、近くの広場でやるんだってさ。馬車の荷物とか増えてるし人も多くなるだろ?」
     ダンは得意げに胸を張った。
     「つまり、そこら中に金が落ちるってことだ!」
     「なるほどねぇ」
     ガラドはニヤリと笑った。
     「ったく、お前のそういう頭の回るとこ見習いてぇもんだぜ」
     「でしょ?」
     ダンは得意げに笑ったが、スーリャは小さくため息をついた。
     「でも、無理はしないでね」
     彼女は静かに言う。
     「ダンはいつも、私たちのために危ないことばかりするんだから」
     「大丈夫だって。俺は天才だからな!」
     そう言ってダンはガラドの手を引っ張った。
     「お前もほら、昨日転んだとこ、まだ痛いんだろ? 無理すんなよ」
     「手当てしてくれたの、お前じゃねえだろ」
     「うっ……まあ、俺は見てるだけだったけど……」
     「な、スーリャ」
     ガラドは隣の少女に視線を向けた。
     「ちゃんと結んどいたから、しばらくは大丈夫なはずだよ。でも、ちゃんと綺麗な布があれば替えたいな……」
     スーリャはガラドの手をそっと撫でた。
     「そのためには、稼がねえとな!」
     ダンが勢いよく立ち上がる。
     「よーし、今日もバッチリ金持ちの財布を狙うぞ!」
     「おう!」
     ガラドも拳を突き上げ、元気よく返事を返した。
     スーリャが小さく咳をすると、二人は自然と彼女に寄り添うように歩き出す。
     三人は今日も、スラムから離れた世界へ足を踏み出すのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works