ガマン、タタカイ、カイカン「おい、いちろー!どんき!どんき、いこうぜって!」
「あー、もう!わかってるつーか、今向かってんだろ??」
今日は遊びに行く言って家に行けば、忘れてイツメンで飲んでるとメッセが送られてきた。忘れられる事は、まぁ……よくある事で。流石に俺が居るから早く帰ってきてくれるかと思ったが、俺の考えは浅はかだった。左馬刻は俺が待っていると言ったのにも関わらず、連絡をしてから3時間経っても帰って来る気配はなかった。少し苛立った俺は左馬刻に電話をすれば、酔っ払った甘えた声で『いちろーくん、俺様ぁ迎えに来てほしい♡』と言ってきた。その声を聞いてイラッとしたが、惚れた弱みと言うのか、怒りよりも可愛さの方が勝っちまった。左馬刻の猫なで声に敗北した俺は指定されたノッケ横丁の居酒屋に行けば、入間さんにダル絡みしている上機嫌なクソヤクザの姿があった。
ムカついて引きはがせば『おっせ~よ、だぼぉ』って抱き着いて着て……なんか、うん、可愛いからマジ許した。そんで車で迎えに来い言われて車に乗せた瞬間、ドンキに行きてぇって駄々こねてきやがった。
本当に面倒くせぇ……。つか、なんでドンキなんて行きてぇんだよ?
酔ってし、明日行こうぜ?ってなんとか説得しようとしたが『俺様ぁ、いちろーくんとデート……したかったなぁ?』そんな事を言われちまえば、左馬刻にチョロい俺はヤマシタ公園の方のデカイドンキに向かった。
デートしたいって言われたら、そりゃ断れねーだろ?ただひとこと言わせて貰えば、酔ってねぇ時にその台詞言ってくれよって話。
そんで目的地に着けば、左馬刻が手を握ってフラフラしながら店内に入って行った。どこに行くかと思えば、左馬刻の足はエロコーナーに向かっていった。
カゴを持ってドンキに居る左馬刻の姿はマジで異様ってか、似合わなさ過ぎてなんだか面白ぇ。何を買うかと思えば良く使うゴムとか、ローションを次々に入れていた。確かにストックあったか忘れたから買っとけば良かった思ってたけど、今買うか?酔ってんのに、そんな所に頭回るのかよ?ってか、買いすぎじゃね?そんなツッコミ満載だったが、酔った時のこの人は言っても無駄だって事はよく知ってる。だから適当に見ながら一緒に歩いていれば、反対側の棚にある電マやオナホもポイポイとカゴに放り込んで行くのが見えた。いやいや、流石に玩具は使ったことねぇからいらなくね?······待てよ。勝手に左馬刻は、そういうの使うのに抵抗あると思ってた。それは俺の先入観で、勘違いだって事か?なんて考えてたら急に立ち止まったと思えば、また違う商品を手に取り始めた。
「なー、これ飲んで、がまん比べしね?」
「は?我慢……ん?え?」
左馬刻が持っているモノが信じられなくって3度見ぐらいした。嘘だろ?笑顔で性欲剤持ってるんですけど、この人?しかも、さっきコレ飲んで我慢比べしてぇとか言ってたよな?マジか?本気で言ってんのかよ?冗談だよな?
「なー、なー!コレ飲んで我慢比べしたくねーの?」
「……一応聞くけど、それ飲んで我慢比べしてどうすんだよ?」
「んー?どっちが先にがまんできねーかきめて、がまんできねぇ方がまけで、まけた方は勝った方にすきなプレイされる……きょひけんなし!」
「ちな、それってどうやって思い付いたんだ?」
「のみやに居たねーちゃん達!」
すげぇな、ハマの飲み屋に居る女子。そんな事を人に聞こえるように話してんのかよ?そんで酔っ払いがこうやって真に受けて試そうとしちゃってんだから、タチが悪ぃ。性欲剤飲んで我慢くらべとか、大人の悪い遊びだろ。
そもそも飲んだ事ねぇけど、実際効くもんなのか?
「じゃあ、俺がもし負けたらどんな罰ゲームすんだよ?」
「いちろーくんが負けたらぁ……ちくび責めして、おなほで爆いきさせてやんの!」
「……それじゃあ、俺が勝ったら左馬刻の事好きにしていいんだな?」
「おう!あー、なんでも言うこときーてやんよ!」
何でも言う事聞いてやる·········か。俺はスマホを取り出して左馬刻の発言を撮って、言質取っといた。これで後から文句言われる事もねぇからな。
酔っ払い相手の勝確ドスケベなセックスが出来るチャンスを逃す訳にはいかねぇだろ!左馬刻がなんでも言うこと聞いてくれるプレイ……エロい妄想しか浮かばねぇよ。やべぇ……やる気出てきたわ。絶対に負けられねぇ戦いが始まるってワケか。完っ全に理解したぜ。負ける気のねぇ俺もカゴに玩具を放り込んで、後は適当に飲み物とかも入れてレジに持っていった。
流石に男二人で……て、思ったけど客に興味なさそうな感じの店員さんだったから、特に何も起きる事はなかった。そのまま会計を済ませて車に乗り込んだ俺達は、左馬刻のマンションに向かった。
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「あのさぁ……マジですんのか?」
「おー」
風呂でも入ったら眠くなるか、酔いが醒めるかと思ったら、そうはならないのが左馬刻サマ流だ。ベッドの上で缶ビールを飲んで、ご機嫌な顔で俺に手招きをしている。マジでコイツどんだけ飲めば気が済むんだよ?俺はベッドの上に乗り上げて、缶を没収すれば不満そうな目で睨まれたが気にしない事にした。
勝負するって言ってたのにやる気あんのか?一応聞いたらヤる気はあるらしい。マジか。ベッドの上にはドンキで買った玩具と性欲剤が転がっていて、準備万端の状態でウケるんだけど。改めてルールを聞いてみた。なんでも性欲剤を飲んでムラムラしても相手にお触り禁止で、オナってもイケねぇ。そんでどっちかが先に我慢出来なくて相手に手を出した方が負けって言う単純なルールらしい。
「ほら、かんぱーい!」
「あ、あぁ……」
とりあえず、瓶をぶつけ合って乾杯をした。一気に飲み干したけど……うぇっ、マズイ。つーか、本当にこんなモン効果あるのか?左馬刻は取り上げた缶の酒を開けて、グビグビ飲んでいた。