『夜を知らない世界』 序章 ※試作 ――この世界には夜が存在しない
教室の片隅、昼休みのざわめきから少し離れた場所で僕は机の上に突っ伏していた。
目立たないようにしていればきっと今日は何もない。そんな淡い期待を抱いていた。
「おーいクソ薙!何してんだよ隅っこで!」
その声が聞こえた瞬間、期待はあっけなく砕け散る。
振り向かなくても分かる、いじめっ子の玄英だ……玄英が僕に構うときろくなことがない。
僕は校舎裏に連れてかれる。
草薙日向(またか…)
僕は教科書と弁当を抱えながらため息をついた。校舎裏、ここはいつもそういう場所だ、誰にも見られない、先生にも気づかれない……だからこそ、あの人たちにはちょうどいいらしい。
玄英「クソ薙、金持ってんだろ?」
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