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    てっかめかぶ

    @2112yknkkiti

    主にぼぶげ、えろげ二次創作置き場です

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    てっかめかぶ

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    博玉
    いろいろな博士
    コピー本交換会で出した内容と同じだと思います

    ##博玉
    ##橋姫

    カラカラ、カラカラ。
    それは宝石か、それとも別の何かか。
    角度を変えれば映し出す世界も姿も変わっていく。
    カラカラ、カラカラ。
    二度と見えないものだろう。

    それは、画面がスライドしていくような、瞬きの瞬間に切り替わるような。
    背景は変わらず、博士の存在だけが切り取られたように変わっていくのだ。
    今日は一体誰だろうか。

    Day1
    あるとき博士は子供の姿だった。ぱちぱちと目を瞬かせる。
    この日が、初めての違和感の日であった。
    「玉森さん!今日は何して遊びましょうか?」
    そんないつも遊んでいるかのような物言いを。
    「んん…?」
    「ちゃんと宿題も終わっているのです。……だめですか?」
    混乱する私を見て不安がる博士。目を潤ませないでくれ。
    「い、いや!だめではないぞ!うん!」
    やはりこの博士の顔に弱い……。ぐっ……このとおり自覚はあるのだが……。
    仕方がないといったふうに、その小さな博士の手を取ってやる。
    そうすればきゅ、と握り返してくる。ほんのり温かさも感じる。
    「えへへ……」
    カワイイ。この日はもう遊ぶしかないだろうと。
    博士の発明の話などを聞きながら時間は過ぎていったのだった。
    ひとしきり遊び、眠りにつくまで。
    「おやすみなさい玉森さん…」
    「おやすみなさい」
    目を閉じる。カララ、と傾く音。
    その景色ごと崩れていった。

    DAY2
    またあるときの博士は白髪であった。
    「やはりおかしい……」
    いつもの同じ廊下を少し速足で歩く。
    「おはようございます玉森くん」
    と、後ろから声をかけられた。ふわりと香りがした。
    「はっ博士…!?いきなり現れないでください」
    「ご、ごめんなさい…!驚かせるつもりはなかったのですが……」
    目にとまるのはその白髪と、白い眼帯。
    おかしいことに気づいているのに、私は焦って”博士”を探すようなことはしなかった。
    「……」
    ジト目をしながら白髪を撫でる。
    「わわったっ玉森くん……!?」
    「立派な白髪だ」
    「お恥ずかしいです…」
    慈愛に満ちた笑顔で言うな。
    もしかしたらこの博士であれば、何か知っているのかもしれない。
    「博士……」
    「玉森くん、今日は何をして過ごしましょうか」
    「待ってください」
    「?なんでしょうか」
    「私は聞きたいことがあるんです。あなたならきっと知っているはずです」
    「そんなことは……。ですが、わかることでしたら、お話します。説明、下手ですけど…」
    「いつもの博士はどこへいったのだ…」
    「ふふっ…いつもの僕、ですか…」
    「……」
    笑うところなのか?と思って押し黙ってしまった。
    「えっと、玉森くんは"いつもの"僕をお探しなのですね…」
    無言は不安にもなるだろう。ほら。
    だから何か言ってやらねばと。
    「あなたは知っているのですか?」
    「はい」
    そっと心臓に手をあてる博士。
    「ここに。共にあるのです」
    そして控えめに笑うのだった。
    「…?」
    うまく呑み込めなかったが、悪い気はしなかった。

    DAY3
    ある時は、ああ、……あの、博士であった。
    「玉森くん」
    一瞬わからなかったのだ。けれど、その瞳を見たとき、わかってしまったのだ。
    「博士……」
    私があのとき、置いていってしまった、あの人だと。
    「そんな顔なさらないでください……。玉森くん、今日はどうして過ごしましょうか」
    「あっふらついているじゃないですか…!?つ、つかまって」
    見えないのだ、おそらく。
    「あはは……ありがとうございます。でもきっとすぐ慣れますよ」
    「……」
    「僕はもう目が見えませんが、そこに玉森くんがいることはわかります」
    これは私の、ただの願望だ。
    「お願いですから、どうか、そばに」
    そんな風に笑うな。私の中を黒く染めるな。
    「どうして」
    「……?」
    「どうして、あなたが、ここにいるんですか……」
    震える声で問う。
    「昨日も、気にされていましたね……」
    いつもの困ったような表情で、こちらを向いて、
    「玉森くんのおかげですよ」
    笑うのだ。
    「私の…」
    「君が、忘れないでいてくれるから」
    やめてくれと叫びそうにもなるだろう。
    「それは……」
    忘れられるはずがないだけだ。
    忘れたくないのではなく。

    顔が自然と下に下がっていく。
    前を向けない。
    「博士」
    バッと顔を上げたとき、視界が揺らいだ。
    ここは水中か?宇宙か?
    浮遊感のあと、痛みが体に走った。
    「い…った」
    「た、たまもりくん…!大丈夫ですか?」
    博士の視線がおりてくる。
    足はかろうじてベッドに引っかかってるが上半身は床、痛いわけだ。
    片目には筒状の何かが押し当てられていて、その中の景色は鮮やかだった。
    「……これは博士の発明の一つですか?」
    「いいえ、これは海外へ行ったときに見つけたお土産です。カレイドスコープと言われているようです。きれいだなと思いまして」
    もう一度のぞけば、何も起こらず、ただただキラキラとしたものが転がっていくだけだった。
    日付を確認すれば、あの子供博士と出会った日より前だ。
    「……本当にただのかれいどすこーぷなのか…?」
    「玉森くん、それよりもお体をおこさないと…!」
    博士に抱き起される。急に距離が近くなるものだから体温も上がってしまうものだろう。
    そのままベッドにおろされたが、博士の腕を引きとめる。
    「玉森くん……?」
    顔を覗いて、目を合わせる。わわっと言いながら赤面する博士。
    その姿を見てようやく力が抜けた。
    「これは貰って良い、んですよね?」
    きゅ、と手の中にあるかれいどすこーぷを握りしめた。
    「はい、もちろんです!」
    ぱっと笑顔になる博士を見て、私も自然と頬が緩んでいた。
    END
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