FY/VD「せんぱーい!」
『今巷で、というよりある界隈で某ゲームが流行っているらしい』との噂を聞きつけた副都心は、ご丁寧に小さな箱から中身を一本だけ取り出し、満面の笑みで有楽町の方をまっすぐ見つめている。
「先輩、ポッキーゲームしましょう」
実際にはその言葉が発せられることはなく、瞬く間に副都心の視界は、見慣れているその金髪で遮られる。
咄嗟の出来事に何が起こっているのかわからず動くことができないでいる副都心のことはお構い無しに、有楽町は少しだけ背伸びをして副都心の頬に口づけをした――
「……あ、えっと」副都心は一瞬目をぎゅっと瞑ってみる。そしておずおずと目を開けてみると、有楽町の後ろ姿が見えた。
「ま、待ってください」
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