それでも拍手は届く「こんなところに居たんだ」
頭上から降ってきた呆れ混じりの言葉に、地を這っていたぼくの気分は更に降下した。その声には遺憾ながら聞き覚えしかない。せっかく会場の端っこで大人しくしてたのに。全部台無しだ。額にじわりと汗が滲む。顔を合わせたくなんてないのが本音だけれど、人目があるとそういうわけにもいかない。
重たいばかりの頭を持ち上げて前を見上げれば、途端にシャンデリアのギラギラした照り返しが目に刺さった。くらりと視界が回る。
あ、まずい、かも。
――ううん、大丈夫。落ち着けばやり過ごせるはず。両の目尻を片手で押さえるようにして顔を覆えば、光が遮られて少しはマシになった。ぎゅっと目を閉じる。いち、に、さん、と心の中でカウントを取って、ゆっくりと瞬きを数回。視界を定めれば、ようやくちゃんとピントが合った。
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