少年少女エンカウント
"それ"の姿を見つけたアスランは、きゅ、と眉をしかめていた。
庭の一角、バラの木の枝に、木肌によく似た色をしたその生き物は張り付いていた。
体長は5㎝くらい。全身を細かい毛で覆われている。太さは1㎝ほどあるように見えるけれど、実際にはそこまでではないはずだ。
一般的にざっくりとひとまとめに「毛虫」と呼ばれる虫。何らかのガの幼虫だが、何の幼虫かまではアスランは知らないし、知りたいとも思わない。
アスランは眉をしかめたまま、持っていた駆除用の道具で黙々と処理をした。
アスランはもともと虫が平気だったわけではない。どちらかといえば苦手なほうだったし、今も好きになったわけではない。けれどこの家に越してきたことで、慣れざるを得なかった。
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