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    abukuxxx

    @abukuxxx

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    abukuxxx

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    Xで見かけたヴェさんが先に死んだときのネタに便乗して書いたお話…なんですが、書き殴りすぎてよくわからないことに(笑)
    死ネタ、転生、ハピエン!です(???)
    ※ハンター・オトモ固定名表記

    輪廻転生、さよなら愛を込めて。ある日、突然世界が色を失った。
    あんなに光り輝き、彩り豊かだったはずの豊穣期の緋の森ですら、私の目にはモノクロに映る。
    ヴェルナーさんが死んだ。それは本当に突然で、任務を終え星の隊が滞在しているベースキャンプに訪れた際に知らされた。
    一応、彼とは対面出来、顔を見たが苦しんだ様子はなく、穏やかだったのが救いだった。触れた頬は、いつもの温もりはなくヒンヤリとしていて、その時の私はびっくりするくらいの冷静な頭で「ああ、本当に死んでしまったんだな」とだけ思った。
    不思議と涙は出ず、ただぼんやりと彼を弔うみんなを見ていた。
    その日からだった。私の世界から色が消えたのは。
    だけど、何も変わらなかった。いつものように笑い、話し、狩猟に行く。周りも驚くほどに。
    アルマもナタもジェマも、星の隊の皆さんも、暫くは休んでいいと言ってくれたが、何だか私はいつもの日常を止めることが怖かった。
    親しい人を亡くした人は、ある日突然重い悲しみに襲われると聞いたことがある。私もきっと、それなのかもしれない。
    いつものように狩猟から帰ってきたら、その足でいつものように彼のいた作業場に足を運ぶ。刃物を研ぐ音も、金物を叩く音も、私を見つけてかけてくれる声も、もうない。
    それだけが、いつもと違った。胸に鉛が詰め込まれてるかのように、日に日に重苦しさが増していくことは感じていた。

    それは、本当にある日突然だった。よりによって、一人での狩猟中にヴェルナーさんとの記憶が次から次へと溢れ出て、全身に悲しみが重く重くのし掛かる。
    狩猟中に視界が奪われることなど、あってはいけないのに涙が次から次へと溢れ出て、風景もモンスターも滲んでいく。
    拭っても拭っても、意味がないくらいに苦しさと涙でぐちゃぐちゃだった。
    もう一度、涙を拭い開けた視界に映ったのは、私に振り下ろされた特大の鋭い爪。
    致命傷。体の皮膚は破け、血が噴き出す。吹き飛ばされ先は高い崖。
    動かない体は落下し、地面に強く叩きつけられた。生温かい液体と冷えていく体。閉じることの出来ない瞳。
    まぁ、いいか。帰っても、もうあそこにヴェルナーさんはいない。
    「あんた、何やってんだ」
    声が聞こえた。それは、とても大好きな声。この世界から失われていた…
    「あ…ヴェル…ナー、さ……夢……?」
    「……ああ、近いかもしれんな。なんせ、俺もあんたも」
    ヴェルナーさんがそこまで言った瞬間に体がふわりと軽くなった。痛みも苦しみもない。
    そして、失われていた色が戻ってきた。ヴェルナーさんが続きの言葉を紡ぐ。
    「死んじまったんだからな」
    足下に転がる自分を見た。なんとも不思議な光景だ。
    ヴェルナーさんは、転がってる方の私の頭に触れた。
    「こんなあんたの姿、見たくなかったんだがなぁ」
    「すみません……」
    「あんたには、もっと長生きして欲しかった」
    「……私にとって、その言葉は何よりも残酷ですよ……あなたのいない世界で生きろ、は」
    「そうかい」
    ヴェルナーさんはゆっくり立ち上がり、何も言わずに私を抱きしめた。死後の世界で私たちが魂だからか、温もりとか触れてる感覚とかはなかったが、私は幸せだった。
    「正直、不謹慎なことだとわかってて言うが」
    「はい」
    「あんたが他の男に取られなくて済んだことに、安心してる俺もいる。情けない話だが」
    その言葉を聞き、ヴェルナーさんの背中に回した腕の力を何も感覚はなかったが強めて、笑った。
    「例え、生きて帰ってたとしても、私がヴェルナーさん以外を想うことなんてあり得ませんよ」
    「大した自信だなぁ」
    「ええ。これだけは、自信持って言えます。だから、ヴェルナーさんも私に愛されてる自信持ってくださいね!」
    私が言い終えると、ヴェルナーさんはため息を吐いて「はいはい」と軽く流した。照れているのか、本当に呆れているのか。
    「ま、そんなに言い切ってくれるなら、俺は安心しとくとしますかね」
    「しといてください!」
    一瞬、遠くを見つめたヴェルナーさんの視線が私に移る。ゆっくりと私の頬に触れる手。
    「シャル」
    名を呼ばれたのを合図に、目を閉じた。

    ピピピピピ!とけたたましいデジタルアラーム音をスマホが鳴らす。なかなか覚醒しない頭でアラームを止めた。
    急いで身支度をして、家を出る。
    定期的に見る夢。そのことをじっくり考えたいと思うことはあるのだが、何故かいつも、その夢を見た朝は慌ただしかった。
    入社したばかりの会社。今日は初出勤というわけではなかったが、プロジェクトで協力関係にある他部署へ挨拶をする日ということで特に遅れるわけにはいかなかった。いつも遅れちゃいけませんけどね。
    「おはようございます!」
    「お!シャル、おはよう!ギリギリだけどセーフだね」
    「相棒、もうちょっと余裕持って来た方がいいよ」
    元気よく挨拶してくれた同じ部署の開発担当のジェマさんと私の相棒であるルカンが事務所で迎えてくれた。
    机に荷物を置き、室内を見回す。
    「あれ?アルマさんは?」
    同じ部署にはもう一人、データやスケジュールなどの管理を担当しているアルマさんという女性がいるのだが、見当たらない。
    「ああ、アルマなら今、星の部署と時間調整中。あそこも結構忙しくて、なかなかみんなが揃わないからね」
    「そうなんですね」
    そんなやりとりをしていると、
    「あ、シャルさん!おはようございます」
    とアルマさんが、星の部署とのやりとりを終えたらしく事務所に入ってきた。
    「アルマさん、おはようございます」
    「星の部署への挨拶ですが、9時半くらいなら皆さんいらっしゃるそうで」
    「わ、わかりました。ドキドキしますね」
    「気持ちはわかるよ。でも、リラックスリラックス。いい人達だしね」

    時刻は9時半。
    ドアをノックすると、中から「どうぞ」との声がかかり星の部署の事務所へのドアを開けた。
    「し、失礼します!」
    緊張のあまり、声が上ずってしまった。恥ずかしい。
    「やぁ、君が」
    「あ、はい!鳥の部署に配属となりましたシャルと申します。至らぬ点も多々あるかと思いますが、よろしくお願いします」
    「はは、そんなに緊張しなくても。私はオリヴィア。君と同じで外回りなどを担当してる。それから、私の相棒のアトス。で、そっちのがデータやらスケジュールやらを管理してるエリック」
    「よろしく頼む」
    「シャル、よろしくね」
    「はい、よろしくお願いします」
    一人一人頭を下げて挨拶をする。
    「それから、」
    部屋の奥、こちらに来ようとも、見ようともしない人物がそこにいた。
    「彼はヴェルナー。うちの開発を担当している」
    「ヴェルナーさん」
    「ヴェルナー、こっちへ来て挨拶くらいしたらどうだ?」
    オリヴィアさんの言葉にヴェルナーさんは視線だけチラリと向けて、また戻した。
    「はいはい、よろしく頼みますよ」
    ひらひらと手を振り、また仕事に戻る。
    「すまない。悪いやつではないんだ」
    「いえ、大丈夫です。それでは改めてよろしくお願いします」

    「はー、緊張しました」
    「でも、いい人たちだったでしょ?」
    「はい!これから、一緒に仕事するのが楽しみです」
    「あ、シャルさん。10時なので少し休憩してきていいですよ」
    「あ、それじゃ飲み物買ってきます」
    「いってらっしゃーい」
    まだ、慣れぬ社内。まだ少し迷いつつも自販機の置いてある休憩室に辿り着いた。時間も時間なので、利用している人はまばらだった。
    そこに見知った背中。声をかけるか迷ったが、仲良くなるきっかけになればと思い切って声をかけることにした。
    「あ、えっと…ヴェルナーさんも休憩ですか?」
    「ん?ああ……えーっと、あんたは確か…蛙の」
    「鳥です」
    「ああ、そうだった。悪いが俺は余計なことは覚えないようにしててな」
    「エネルギーは有限ですもんね」
    私の言葉にヴェルナーさんは少し驚いたような顔をした。
    「…………シャル」
    「よかった。ヴェルナーさんもあるんですね……”記憶”」
    「まぁ、な。他の連中はさっぱりないようだが……まぁ、あんただけでも……よかったと言うべきか」
    「よかったんですよ。やっと見つけた」
    そうなのだ。私には、”前の記憶”があった。最初は夢と記憶がごっちゃになっているだけかと思ったが、そうではなかった。
    だから、探して、この会社のHPにヴェルナーさんらしき人の写真を見つけ、入社を決めた。
    鳥の隊も星の隊もみんな揃っているのは運命が引き寄せたのだろうか。
    「こっちの世界じゃ青いんだな、髪」
    「あなたの瞳の色ですよ。見つからなくても、そばにいてくれてるような気になれるように」
    「へぇ」
    そっと、私の髪にヴェルナーさんが触れた。
    「まぁ、そういうのも悪くない」
    「でしょ?」
    「しかし、あんたも物好きだな。生まれ変わってまで俺を追いかけるなんて」
    「言ったじゃないですか。私がヴェルナーさん以外を想うことはないって。記憶がなくったって、私はあなたに惚れてますよ」
    「大した自信だことで」
    「私に愛されてる自身は持っててくださいって言ったでしょ!」
    「…………ああ、そうでした」
    そういえば飲み物を買いに来たんだったと、変なタイミングで思い出し、自販機でペットボトルのお茶を買った。
    同時にヴェルナーさんが歩き出す。
    「あ、戻りますか?」
    「ああ、少し長居をしすぎた」
    「すみません。でも、お話出来て良かった。……ヴェルナーさん」
    思わず、ヴェルナーさんのジャケットの裾を掴み、引き留めた。
    「これからも、また、昔みたいにヴェルナーさんの隣にいても……いいですか?」
    「……俺はあんたに愛されてるんだろ?まぁ、それは俺も同じでな」
    「……もう、私を置いていかないでくださいね」
    「それはどうだかな」
    「ヴェルナーさん」
    「はいはい、努力しますよ。それじゃ、またな」
    そう言ってヴェルナーさんは自分の事務所へ戻っていった。
    彼の背中を見送り、私も自分の事務所へと戻る。また、愛する人に出会えた喜びを噛みしめながら。

    「ヴェルナー、少しいいか?」
    「あ?」
    「挨拶したその日に鳥のとこのシャルといい感じだったらしいじゃないか」
    「……誰に聞いた?」
    「あちこちで噂になってる。休憩室でいい感じだったとか」
    「…………しまった」
    「今、しまったって言ったな?よし、星の部署!今日は飲み会だ。今まで浮いた話が一切なかったヴェルナーがどうしてそうなったのか、あれこれ話を聞くとしようじゃないか」
    「……勘弁してくれ」
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