幸せを夢に見る「白虎の髪はきらきらして綺麗だね」
「青龍は楽しいものを見つけるのが得意だね」
「玄武が奏でる音は心地がいいな」
「──ほら、朱雀もおいでよ」
1000年前から、ずっと同じ夢を見ている
「……っは!、…ぁ」
パチ、と電源が入ったように唐突に目が覚めた。先程まで、何かとても恐ろしいものを見た気がしたのに、もうその光景は霞みがかって思い出せない。酷くうなされたのか、汗が乾いて酷く気持ち悪い。
「晴明様、失礼します」
未だ呆然としているとその場に凛とした声が響く。見ると白虎が手ぬぐいと桶を持って入ってきた。
「! お目覚めになっていたのですね。呼んでくださればもっと早くにお傍に参りましたのに」
「……いや、つい先程目が覚めてね。まだ少し寝ぼけてるのかもしれない」
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