今日は恋人「俺と懇ろになってくれ」
昼下がりの賑わうカフェーにて。
冨岡の言葉に、煉獄は頭が真っ白になった。
思いを寄せていた人からの、思いも寄らない突然の告白。
ほんの今さっきのこと。
往来を歩いていた煉獄は偶然、カフェーの窓際に一人座る冨岡を、その抜群の視力で遠くから見つけた。たまの休みにこれは僥倖と、自分も吸い込まれるように店へ入っていく。
カランカランとベルを鳴らし、店の扉を開けるなりいつもの声量で冨岡の名前を呼び、真っ直ぐに窓辺の席に向かう。そしていつもの明るさで「一緒に食事を良いか」と笑いかけた。
すると冨岡は、渡りに船地獄に仏という顔をして煉獄の顔を見上げてきた。
「……煉獄」
「……どうしたんだ、冨岡」
冷静沈着な冨岡がこんなに困り顔で焦りを浮かべるなんて。
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