ノースディンと体を重ねること数度、クラージィは疑問に思うことがあった。
ノースディンの屋敷のノースディンの寝室のベッドで睦みあう。体力はあるはずだが、今の体質のせいか、終わるとクラージィはほどなく寝てしまう。事後にうとうとしてそのままもあれば、どうにかシャワーで体を清めてからベッドに戻りバタリ、という朝もあった。
そのどちらででも、日が落ちて目を覚ませば、クラージィ用の部屋のベッドにいる。恋仲となる以前の、友として泊りに来ていた頃と変わらない。
寝落ちてしまった日でも目を覚ました時には体を清められていて、クラージィが寝ぼけて自分で歩いたのではなく、ノースディンによって為されたことが察せられる。そのことで礼を述べた時には、ノースディンは「ああ」と素っ気なく受け入れていた。やはり知らぬうちに世話をされてるようだ。
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