家出少年天くん?_________________________
朝のダイニングに、トーストの匂いが漂っていた。
急いで朝ごはんを食べていると天が起きてきた。
「えー…、唯一、今日は朝ごはん作ってくれないの?」
天が寝癖を残したまま、ふらりと椅子に腰を下ろす。
「今日は寝坊しちゃって…。仕事も忙しいからごめんね。自分でお願いできる?」
「えー、唯一が作ったやつが食べたいのに」
「これから大事な会議があって、外せないんだよね…。ごめんね。」
納得いかなかったのか、天は唇を尖らせ、わざとらしくため息をつく。
「……じゃあいいや。今日は外で食べてくる」
「…外で?……わかった。」
そう言って、僕はパソコンの画面に戻った。
このとき、天がスマホをテーブルの端に置きっぱなしにしていたことにも気づかなかった。
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