顕現ifせーめー様がバカンスに行った先で一族繁栄のために座敷の奥の奥。塗籠に呪符や呪物につながれ、囚われている座敷童を発見して逃がす話。
「大丈夫。僕が君の助けになろう」
「・・・あんたに何ができるのさ!なんにも出来やしない癖に!!」
「出来るよ」
ふわりと童子を捕えている呪物に触れれば簡単に解呪されるような代物はぼろぼろと崩れ落ちる。
(随分と、お粗末な代物だね)
だけれどこのお粗末なモノでしかこの子を縛れなかったと言う事で分かる事はある。
この家には呪符や呪物を扱えるものがいない、ということと
座敷童が何であるかの理解すらしていない、という事。
(だったら。簡単だ)
「ね、出来るよ。そして僕は君を逃がしたい」
と言えば、今しがた解放された座敷童は呆然とした目を向け
誰何を問うてきた震える声
「・・・あんた、何物なの?」
「通りすがりの大陰陽師だよ」
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「君には僕の衣類を貸すから。君の服を借りてもいいかな?」
背格好が似ていてちょうどよかったと嘯きながらも、私には少年の服と「あとこれは念のため」とチラシ裏に書かれた呪符を渡すと、葛籠から私の服を着だす自称大陰陽師の少年。
「・・・何をするの?」
「君を逃がすんだよ。」
逃げるには豪奢な衣装を着だす少年
「そんな恰好じゃ見つかっちゃうじゃない」
「?見つけられるためだからね。ああ、僕は囮だから」
僕が騒ぎを起こすから、君はその機に乗じて北の方角に逃げればすぐに民家があるよ。
等と嘯く少年。
「ちょっと!ばかじゃないの!?」
だって私は知ってる。この家の主がどれだけ私に執着しているかを。
私が去ればこの家がどうなるのかを知っている当主はきっと身代わりになったこの子を捕えようとする。そのためにどんなことをするのかも、どんな事が行われるのかも。そして捕らえられたが最後、この子がどんな惨い目にあるのかも・・・大体が想像がつく。ついてしまう。
だからこそ、身代わりになんてさせられないと悲鳴のような声で詰れば。
ぽん、と頭の上に置かれる柔い掌。
「君は優しい子だね。うん。じゃあ、もし君が麓まで逃げられたらこの番号に電話をかけてほしい。」
ぺらり、とルーズリーフに流れるような美しい文字で書かれた番号11桁。
「ナニコレ?」
「ふふ。それで呼べば、一目散に駆け付けてくれる僕の近衛が来てくれるはずだからね」
大丈夫。僕も君も助かるよ。
なんて嘯きながらふわふわと笑う少年。
きっと反対をすればするほどにその時間すら勿体ないほどに意思を曲げることはないと悟ってしまう。
「・・・・本当に。君も私も助かる?」
「勿論」
「だったら、信じる」
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せーめ様VS家人の鬼ごっこ。
せーめー様だったら圧勝できるけど、あくまでも目的は囮だからね・・・
夜目にも映える金と銀、それと朱で彩られた豪奢な衣装を着ては山の中を走るせーめー様は見たい。
大の男数人の「マテ!」「こら!!手前」とかの口汚い言葉を背に
離しすぎないように、自分の姿が捉えらえるギリギリの線で逃げるせーめー様
脳内では
(あ~、草履ってこんなに走りづらいなんだな)とか
(昔よりは随分鈍ってしまったな。今度朱雀あたりと運動でもしなきゃかなぁ)とか
楽勝ってる。
ちなみに柔らかい足の裏は地面に転がってる不法投棄物でぐっちゃぐっちゃになってるし、手入れされていない伸びた木の枝が頬をかするたびに真っ白い柔らかな頬にできる傷もあったりしたり。
んで崖のところまで追い詰められた所で下卑た男たちが手を伸ばそうとする前に
座敷童ちゃんの声をまねて「・・・・お前たちの家には今後繁栄は訪れぬものとする」と言って身投げするせーめー様。
(まぁ、今後ほかの座敷童に手を出すことが無いように。自らの一族が罪もなき妖を追い込んだという業を背負えばいい)(思い込みの力はね何よりも自らを堕とす種になるからね)という思惑込み。アフターフォローまでやり切ると思う。
多分この後では一族内で罪の擦り付け合いが始まってろくな事にならないのも予想済。
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以降、学祖ぱーとと隊祖パートがあったりなかったり・・・・
隊祖パートでは
飛んでる隊長が落ちてきたせーめー君をキャッチ。
「僕が!間に合わなかったら!どうするつもりだったの!?」
「君なら間に合ってくれるだろう」
「~~~~~~~!!!あ~~~もう!!。あ!しかも怪我してるじゃん」
「些末なことだよ」
「~~~~~!!!・・・(よし。あの一族ね。うん。首の根洗って待ってろ)」
後は手当と称して傷を舐めるね。
「やめて。汚いから。やめて」
「ただの消毒だよ?」
頬から首、足の裏からつま先、
「そんなところに傷無いよね」
「さぁて、どうかな~?僕にはあるように見えるけど」
「ひゃ!や・・・や。いや。すざく。」
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学祖パート
空間からぬらり、と出てきた学にすんでのところでキャッチされて地面移転。
ぎゅうっとせーめーの細い体を抱きしめながら。
「あんた、何考えてんですか」
「?」
「千年前ならいざ知らず。今は人間だろう」
「千年前も人間だったよ」
「うるせえ。」
「・・・・ねぇどうまん」
「なんですか」
「心配かえちゃってごめんね」
「謝って許されると思わないでください」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・心臓がとまるかと思った」
「うん」
「罰として甘やかしてください」
「うん」
「甘やかさせてください」
「・・・・・なんて?」
「まずは怪我の手当からしっかりじっくりした後で、お風呂の介助もしてあげましょう。それに明日からは私も休みに入りますので。」
多分この後で目いっぱい甘える感じでせーめー様を甘やかすどーまんがいます。