「もしも、私に【明日】が来なかったとしたらどうしますか?」
これは、そう……たらればの話。重く捉えるほどのものではないのだ。私はそう心の中で唱える。きっと笑って「アキラは何言ってるんだよ」と、「なぎちゃんの明日は俺たちと一緒でしょ」と、「アキラ〜、なんかあったんか?」と…笑い飛ばしてくれればいいと。私はただただ、あなた達が笑ってくれればいいと、そう思いながら問いかけた。
「は?アキラ、お前は何を言ってるんだ?」
「それはどういう意味で言ってるん?」
「なぎちゃん、俺たちに隠れて危険な依頼でも引き受けたの?俺、聞いてないけど」
己の予想とは反して、彼らの纏う空気が一瞬で凍り付き、私は失言をしたのだと察した。ヒュっと息が詰まるような感覚に陥る。それでも悟られてはならない。私は静かに仮面を被るように、「違いますよ」と首を振る。
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