ミラーリングは好意のあかし「ぐ、ぐわッッーー?!!!」
桐島秋斗が、ソファの上から転げ落ちて、ドタンと音を立てながら叫んだ。
ひっくり返った蝉みたいな体勢だった。もしくは、クワガタ? 足をひくひくとさせていて、何とも前衛的な格好。パンイチで、首にはタオルだけが巻かれている。
大方、桐島はお風呂から上がって、髪も乾かさずにテレビでも見始めたのだろう。テレビに熱中しすぎて服を着るのすら億劫になった、といったところか。そこで、俺を見るなりソファから転げ落ちた。
「か、要……クン?!」
「なんですか。何なんですか、ほんと。そんな、鳩が豆鉄砲を食らった顔をして。これいつまで続ければいいんですか」
「か、慣用句?! さすが……要クンやね……!」
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