クラシックさんの日おめでとうSSどたどたと廊下を駆け回る騒がしい足音が、扉越しに聞こえる。
誰だかは分からないが、廊下は走るなと言っているだろう……。
ため息一つ吐きながら扉に目を向けたその瞬間。
「クラさーーん、記念日おめでとーーーー!」
明るい水色の髪に赤の髪留め、ヘッドフォン。
勢いよく開いた扉と共にランが祝福の言葉を上げながら部屋へと転がり込んで来た。
「……記念日?」
本来はもっと言うべきことがあるはずだが、予想もしていなかった言葉に思考停止しそうになる。思考が止まり切る前に聞こえた言葉を繰り返し、答えを待つ。
「クラシックお前……毎回忘れてんなー?」
喉元に光るチョーカーを揺らしながら、予想通りだと言いたげにニヤニヤと。
「まあ、兄様らしいと言えば兄様らしいです」
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