子供たちのためのゆりかご白くて大きくて、サングラスをしてて、目が見えない、あのお兄さん。
背はすごく高かったけど、たぶんオトナかコドモかって言うとコドモで、でも今まで会った誰よりも落ち着いて話す、不思議なお兄さん。
生きるために必死に走って逃げて、帰るべき場所から遠ざかっているのか近づいているかも分からない中、わたしたちは走り続けて、そして、お兄さんに出会ったの。
あの人が教えてくれたあの建物は、なんだか学校みたいだった。いろいろ壊れてて使えないものの方が多かったけど、それでもわたしたちはそこで久しぶりに、本当に久しぶりに美味しいご飯をおなかいっぱい食べた。
みんな嬉しそうだった。はじめはみんなお兄さんに、この場所に警戒しているみたいだったけど、ご飯を1口、2口と食べていくうちに、なんだか気が抜けて、安心して、泣きそうになって、わたしたちは笑った。
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