その少年は物言わぬ人形を愛す僕の母はとても美しい人だった。腰まで届く薔薇色の髪にサファイアを閉じ込めたような煌めく瞳、白陶器のような透き通った綺麗な肌。数多くの男が母を奪い合ったと言う。僕はそんな母が大好きだった。
けれど母は僕のことが嫌いだった。僕の顔は母親には全く似ておらず、受け継いだものといえばこの美しい薔薇色の髪のみだ。
「貴方の醜い顔を見てるとあいつを思い出す」
が母の口癖であった。
どうやら僕は父にそっくりな顔をしているらしい。
その父というのは昔母を無理矢理孕ませた暴漢なのだが。
この天界では、生命を尊重するという理由で妊娠したならば必ず産まなければならないという決まりがある。そのせいで望んでいなかった生命を産み落してしまったのだ。
2499