12月12/1
『クローゼットの上の段。』
ウサギのイラストがあしらわれた可愛いメモには、見慣れた筆跡でそう書かれている。
メモの通りに洋服をしまっているクローゼットの一番上の段を覗く。いつも使わないものを片付けたり押し込めたりしていたが、いつの間にか掃除の手が入っていたようだ。小綺麗になったそこに、机に乗るほどの小さな箱が置いてあった。
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コト、とパソコンの手前のスペースに小さなツリーを置いてみる。毎日視界に入る場所に置いておきたいのと、一緒に暮らす小さな同居人に万が一でもかじられないように。
モニターの機械的な光が反射して白いツリーを照らす。それをぼんやり見ていると何だか冬のイルミネーションをひとり占めしているような気分になって、
「…やっぱり一緒に見に行きたかったかも」
ぽつりと呟いた言葉を誤魔化すようにモニターと向き合い作業を始める。擦り合わせた足先は少し冷えていた。
12/2
事前に彼から渡された時は、こういうのは月初めから開けるものではないのかと首を傾げたけれど、昨日今日のプレゼントを見て納得した。大方1日目のツリーは入らないから別で隠したのだ。
彼のことだ、きっと他の飾りも入れている。とりあえず今日は、シルバーの星だけを飾って待つことにする。
それにしても今回のプレゼント然り、彼は以前ならば照れるようなことを平然とするようになった気がする。出会った頃はそれはそれは初心な反応が多かったのに……。