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    蜂蜜紅茶

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    剣太郎固定夢主/①幼馴染っていう話

    剣太郎固定夢主/①循音じゅねちゃん、一緒に遊ぼう!」
     彼は私の手を引いて、遊びに連れ出してくれた。そのお陰か私にも友達が出来るようになって、いつしか彼と遊ぶ事は少なくなっていった。
     けど、私はずっと彼のことが好きだ。眩しい笑顔が、包み込んでくれる優しさが。
     ずっとずっと、これは私の片思い。

     幼い頃、一緒に遊んでいた女の子がいる。砂浜で潮干狩りをしたり、彼女に合わせておままごとをしたり。けれどいつの間にか彼女は女の子の友達と、剣太郎は六角中のみんなと遊ぶようになって、距離が出来てしまった。小学校は一緒だったけど、改めて再会したのは中学生で同じクラスになったから。
    「隣の席だ! よろしくね、紅井さん!」
    「あ……。うん、よろしくね。葵、くん」
     入学式の日。隣の席の彼女を名字で呼んだ時、彼女は一瞬、悲しそうな顔をした。あれ、間違えちゃったかな。けど、女の子に馴れ馴れしくしたら気分を悪くしちゃうかもしれないし、他の女の子たちからの視線も怖いし……。それ以上言葉を交わす暇もなく、担任の先生がホームルームを進めていくので前を向いた。本当は問い詰めたかったけど、自分たちの名字は前の方の席なので私語は厳禁である。剣太郎はヤキモキしながら、手元のプリントに視線を落とした。

     入学式のホームルームは必要最低限の連絡事項を共有するのみで終わった。諸般の連絡プリントに紛れて入っている部活の入部届けを手に、循音は隣の席の剣太郎に視線を向ける。
    「葵くんはテニス部に入るの?」
    「うん! サエさん達がいるからね!」
    「やっぱり、そうだよね。私は部活、どうしよう……かな」
     彼のようにやりたい事があるわけではない。否、やりたい事はあるのだが、それは彼とまた話がしたいという邪な願望の事だ。
    「……テニス部のマネージャーとか、やっちゃおうかな」
     ちらりと剣太郎を見て言うと、彼はパァっと目を輝かせる。
    「えっ! 紅井さんがいてくれたら嬉しいよ!」
     彼は循音の手を握り、ブンブンと振った。こんなに喜ばれるとは思っておらず、循音は面食らう。
    「あっ、でも、せっかくなんだから部活見学は行ってきなよ! もし入りたい部活がなかったら、来てくれたら嬉しいけど……!」
     わたわたと慌てながら弁明する姿が面白く、循音はクスクスと笑った。
    「マネージャーじゃなくっても、遊びに来てくれれば一緒にテニス出来るから!」
     そう言って、彼は記入済みの入部届けを握り締める。キラキラと輝く笑顔が眩しくて、循音は半ば泣きそうになりながら、わかった、と頷いた。
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