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    蜂蜜紅茶

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    剣太郎固定夢主/②告白の話

    剣太郎固定夢主/②告白の話「剣太郎が女子に呼び出されたぞ」
     テニス部の人達が慌ただしく駆けていく。部活の準備をしていた循音は、その言葉にぴくりと反応した。
    「気になるかい?」
    「さ、佐伯さん……」
     いつの間にか循音の隣には佐伯が立っていて、爽やかな笑みを浮かべていた。循音の恋心は誰にも伝えていないが、佐伯にはバレていると思うことがある。濁しながらも、彼の顔を直視する事が出来なかった。
    「ここは俺がやっておくから、様子を見てきなよ」
    「えっ、でも、先輩に仕事を押し付けるなんて……!」
    「ウチはそういう風潮じゃないの分かってるでしょ。ほら、行った行った!」
     トンと背中を押され、循音は一歩前に出る。佐伯の方を躊躇いがちに振り向くと、追い払うような動作をされた。循音は真っ直ぐ前を向いて、剣太郎の居る場所へと走り出した。


     校舎裏で女の子と二人きり。しかも目の前の子はちょっとソワソワしていて。期待していいのかな、なんて思う。すると、彼女が口を開いた。
    「私、葵くんのことが好きです! 付き合ってください!」
     僕に告白? 全国大会に行ったから女の子にモテモテ? 夢が叶っちゃった? 剣太郎は喜びに唇を震わせた。
     ――嬉しい。そのはずなのに、胸の中で何かが引っかかる。付き合おうって言えばいいだけなのに、この瞬間、思い浮かぶのは彼女の事だ。
     僕がこの子と付き合ったら、循音ちゃんはどう思うかな。僕は循音ちゃんを捨ててこの子の隣にいられるのかな。その答えはもう決まっていて。
    「ありがとう。とっても嬉しいです」
    「じゃあ……」
    「でも……ごめんなさい!」
     振られるとは思っていなかったのだろう。告白してくれた少女は目を見開いた。
    「どうして 彼女が欲しいって、ずっと言ってたのに……!」
    「僕、他に好きな人がいるんです! その事に、今気づいたっていうか……だから、ごめんなさい!」
     剣太郎は深々と頭を下げる。そこまでされては彼女も引くしかない。
    「本当に、告白は嬉しかったです! ありがとうございます!」
     身を翻し、剣太郎は走り出す。今度は僕の番だ。僕が、自分の気持ちを伝えるんだ。

    「剣太郎が女の子を振ったぞ」
     ザワザワと騒ぎながらテニス部の子達が戻ってきた。それが真実だとしたら、どうして? 循音は思わず立ち止まる。
     すると、剣太郎が走ってきた。彼は循音の顔を見ると笑顔で大きく手を振る。
    「循音ちゃん!」
     そう呼ばれたのはいつぶりだろう。目から涙が溢れそうになる。すると、彼は手を差し出してきた。
    「僕、循音ちゃんの事が好きです! 付き合ってください!」
     周囲のテニス部員たちがワッと湧き上がる。循音は口元を手で抑え、そして、よろしくお願いします、とか細い声を漏らした。
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