聖龍の目にも涙 なんの時だったか、正確には覚えちゃいないが急にキィニチが言い出したことがある。
「お前に約束して欲しい事がある」
「あー? 約束ぅ? 何の話だよ」
キィニチの話の切り出し方があんまりにも急でなんの脈絡もなかったもんだから、オレが前の言葉を適当に聞き流したのかと思ったがそういうわけでもないらしい。
「俺が死んでお前に身体を渡したあと、たまにでいいからムアラニとカチーナの様子を見て欲しい」
「はあ?」
キィニチにとってアイツらが大切な「オトモダチ」であることは知っている。現にアイツらとつるむようになって、キィニチは契約したばっかの頃よりも笑うようになったし、人間的には馴れ合いってもんは必要なんだろう。
キィニチが勝手に馴れ合う分には好きにすればいい。が、オレにその面倒を見させようってのはおかしいだろ。
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