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    キヤ

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    キヤ

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    ジクグラ

    ##ジクグラ

    グランは怒っていた。

    「…ジークフリートさん、話聞いてます?」
    「ああ」
    叱られている当の本人、ジークフリートはグランを見つめたままで微笑みを絶やさない。グランはその笑顔を見て溜息を吐いた。

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    依頼を終え艇に戻ってきたグラン達一行。それぞれ休む為に散りつつある中から、編成メンバーだったジークフリートを捕まえて「お話しがあります」とグランから持ちかけたのはつい先刻。そんなグランをジークフリートはひょいと抱え上げて自室へと運び、そのまま膝の上に乗せて「話せ」と促したのである。

    -----

    「…それならいいですけど…うーんと、えーと…」
    ジークフリートの片腕はしっかりとグランの身体に回され、もう片方の手は優しくその短い鳶色の髪を撫でている。グランの腕は身体を支える為にジークフリートの首に回され、まるで恋人同士が戯れあっているかのような絵面だ。

    (絶対聞いてないよなあ…)

    ジークフリートの手はグランの頭髪の毛先を指で弄び、耳をむにむにと揉んでいる。表情は微笑んだままでグランの髪に頬を擦り寄せて小さく「ふふ」と笑った。そのまま額に口付けた。愛しくてたまらないという表情にグランはウ、と言葉の続きを飲み込む。
    腰に回された腕が動きグランの背から腰、更には太ももに指先だけで軽く触れ、更に下に降りた手はグランの尻をやわやわと揉む。
    「ちょっと、もう!ジークフリートさん!」
    まるで誘うように触れられて、グランは愛し合っている最中のことを連想してしまい赤面して震えた。キッとジークフリートを睨み、やっとのことで声を上げる。
    (僕はジークフリートさんを怒りにきたのに!)
    片手でジークフリートの頬を摘み軽く引っ張ると「痛いぞ」と笑いながら唇を塞がれた。角度を変えながら数回唇を合わせた後、見つめ合う。
    「…ぼくは、おこってるんですよ」
    「わかっている」
    頬を膨らませて自分を睨むグラン。愛しい少年が怒る理由はとっくにわかっている。
    「…ジークフリートさんが痛いと、僕も、みんなも痛いんです」
    だから。そう続けようとするグランに愛しさが込み上げてジークフリートは噛み付くように口付けた。

    過度な自己犠牲はやめろと、もっと仲間を頼れと、少年はそう言いたいのだ。

    ジークフリートは唇を離し、グランの頬を優しく撫でる。グランはくすぐったそうに笑い、頬に添えられた手に甘えるように擦り寄った。
    この子にも自分と同じようなところがある。己を顧みず他者の為に犠牲になっても構わないと剣を振るうその姿。
    この子を守りたいと、側に居たいと強く強く願ったあの日。

    「…すまない」
    ジークフリートは謝罪を口にして困ったように微笑みグランの唇に指を這わせた。グランはその表情を見て再び溜息を吐く。
    そう簡単に人間は変われるものではないのだ。
    それでもジークフリートは随分と変わったし、その事は自分でもわかっているんだろう、とグランは思う。少しづつ、少しづつ変化していくしかないのだろう。自分も、彼も。

    「…今日は許してあげます。そのかわり」
    グランはジークフリートの耳元で囁く。
    「僕を…愛してください」
    「!」
    自分を見つめるグランの顔は耳まで赤く染まっていた。愛しのグランに甘い声で誘われたらジークフリートには断る事など出来るわけがない。
    「ありがとう、グラン」
    ゆっくりと口付ける。隙間から舌を挿し入れるとグランの舌が柔らかく迎え入れてくれた。舌を絡め合いながらそっとグランをシーツの上に押し倒し、その身体に触れる。
    愛しい少年の欲を滲ませた瞳を見つめ、ジークフリートは小さく笑った。
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