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    TL_Some_1

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    Tomorrow 葬儀屋、死者を埋葬してその死を弔う。いわば人間の最後のステージである。
     町外れにある葬儀屋アレイテイアは日々執り行われる葬儀に忙殺されていた。
    「まぁた新しい死体ですよぉ…」
    「わかった、新しいものはそこに並べておいてくれるかな」
     
     次から次へと増えていく亡骸、アレイテイア内は日々慌ただしくそれを処理して埋葬する。
    「全くディケーの人たちもこんなに毎日死体ばっかり持って来るなんて、こっちの事情なんてお構いなしすぎる!」
     死体を言われた場所に運びながら忙しさへの苛立ちを隠し切らない青年–ベリアーが大きなため息をつく。
     そのため息を聞くなりキッとベリアーを睨みながら土のついた手袋を叩きながら近づく人影。
    「そうやって無駄口を叩いている暇があるなら、こっちも手伝え」
     防腐処理を済ませあとは埋葬するだけの死体を運びながら、苛立ちを隠さないベリアーへと言葉をかけた青年–リュメルも終わりの見えない仕事量に少々の苛立ちが滲んでいる。
    「ハァ!?今こうやって社長の言う通りに仕事してますが!?!?」
     あまりの苛立ちが募り、今にもリュメルの方へと飛びかかってしまいそうなベリアーの動きを制する少女の声が聞こえる。
    「ちょっと〜、そこで口喧嘩しないでこっちも手伝って頂戴〜」
     そう言って防腐処理台の近くで根を上げる少女–ミュリエルは今にも白旗を振りそうな程疲弊している。
    「しゃちょぉ〜、少し休憩しません〜?」
     社員が次々と音を上げる中、一人黙々と防腐処理をしていた社長と呼ばれた壮年の男–トマスはやっと一息ついて口を開く。
    「そうだね、今やっている方の葬儀を終わらせたら一旦休憩にしましょうか」
     トマスの一言にそれぞれ返事をした社員達は、とりあえずの目標を達成するべく一度感じた苛立ちを引っ込めて作業の手を再開する。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

     束の間の休息。社宅のダイニングルームでトマスが用意した昼食を囲みながら、思い思いの会話をする。
    「社長、最近死体の数が増えていませんか?そろそろ俺たちの手に負えなくなって来るかもしれませんよ」
     皆が思っているであろう不安を一番先に口にしたのはリュメルだった。
     トマスはリュメルの言葉に「そうだね」と呟き、ナイフとフォークをテーブルに置く。
    「確かに、最近送られてくる死体の量は異常だ。それでも、私達はそれをやらなければいけない」
     国から与えられた仕事ということは皆理解している。それでも社長であるトマスを含め従業員四人で行うには、あまりにも仕事量が多すぎる。
     リュメル達はぶつけようのない不満を内心燻らせることしかできないのだ。相手が国家となってしまっては、自分達はあまりにも無力だ。
    「…もちろん、それはわかっています」
    「社長!もうこの際そんな真面目に防腐処理とかやってられないのでは?」
    「そうですよ〜、社長の防腐処理丁寧で素敵ですけど、そこまで念入りにやらなくたって…」
    「それは、」
     トマスが口を開こうとしたその瞬間、強く扉を叩く音がする。
     こんな昼下がりに来る来客といえば大体予想はつく。
    「私が行ってくるから、君たちはゆっくり食べてていいよ」
     脱いでいた帽子を被り直し、杖を手にしたトマスは来客を招き入れるべくダイニングを離れる。
     
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
     
    「どうもこれは、ご苦労様です」
     
    「えっ、それは…」
     
    「……詳しい事情は、…。はい、そうですか。それでは…」
     
     
     なんとなく聞こえて来た会話はベリアーですら聞き耳を立てるほど気になるものであった。
     
     時々聞こえる会話になんとなく耳を傾けながら食事を済ませ、しばらくするといつの間にか来客対応を終えたトマスがダイニングへと戻ってきた。
    「今、政府から正式なお達しが来たから少しこっちに来てくれないかな」
     そう言ってトマスはホールへと手招きする。
     今度はどんな仕事を押し付けられたのやら。口にはしなかったが、皆それぞれ似たようなことを胸にホールへと足を向ける。
     
     ホールにはアレイテイア従業員の四人と、今まで見たことのないような、不思議な見た目をした人のようなものが四人集まった。
     トマスは先ほど渡されたのであろう数枚の紙をペラペラめくりながら説明を始める。
     
    「君たち、最近お墓が掘り起こされてた事件があったこと覚えているかな」
    「アッ!そうなんですよ!今日もまた新しく掘り返されてましてね!」
     トマスの質問に食い気味に答えるベリアーの言葉にトマスは頷く。
    「そう、それについて政府から正式な回答がやっと来たんだ」
    「やぁっとですか、結構時間かかりましたね〜」
    「社長、その件とこの目の前の人達には何の関係が?」
     それぞれ気になることを口々にするが、やはりリュメルたち従業員が一番気になるのは目の前の人についてだ。
     顔や足が蔦で侵食されていたり、体の一部に花が咲いていたり、あまりにも奇怪であった。
    「そうだね、この人たちのこともこれから話すから」
     そう言ってトマスは手元の資料に目を落としながら、文面を読み始める。
     
     先日より横行している墓荒らしについては、最近になって活動が顕著になってきた宗教団体–ユーダイモニアによる行為だということがわかった。
     また、先日政府で暴動が起き、それに関してもその組織が関わっていると踏んでいる。政府が秘密裏に行っていた「人体蘇生」に関する技術が盗まれていることが発覚したため、その技術を応用するべく墓荒らしを行っているものと政府は結論づけた。
     よって、先ほど説明した「蘇生技術」によって供花に魂を宿らせることで蘇生した人造人間–ルルディを戦力として送る。
     
     ルルディと協力しユーダイモニアを殲滅、技術のこれ以上の漏洩阻止を要請する。
     
    「…ということです」
     あまりにも現実味のない言葉が並んでおり、ベリアーはおろか、リュメルさえ眉を顰めてトマスを見る。
    「つまり、この人たちは人間ではないと?」
    「よくみたら結構人間離れした見た目の人?たちばかりですね」
    「でも、お花咲いてるのちょっと可愛いかも」
     それぞれルルディに対して不審な目を向けたり、興味ありげな表情をしたり、反応はそれぞれだ。
    「そうだね…とりあえず、何はともあれ自己紹介をしようか。いくら人造人間だからと言って怖がることもないと思うし…」
     トマスが手を叩いてルルディとアレイテイアの間に入る。
     すると一番に口を開いたのは背の高い、まるでアレイテイアの社員と見間違えるかのような格好をした男性。
    「俺はレナード、…なんか死んだと思ったら生き返って驚いているんだけど…」
     レナードと名乗った男はトマスを見つめながら何か言いたげに口を吃らせる。
    「社長、これとお知り合いですか?」
     なんとなくぼんやりとした調子のレナードを見たリュメルは、顔見知りかのような反応をするトマスに問いかける。
    「うん、昔のね。まさか君がいるとは思わなかったよ。…とりあえずまた後で詳しく話そうか」
     トマスはレナードの顔を見ながら驚いたような表情を浮かべるが、まだ何か言いたげな彼との会話を切った瞬間次に口を開いたのはいかにも海賊風な壮年の男性。
    「アグアと呼んでくれ。…私もよく状況が理解できてはいないが、君たちに協力するよう言われたから来た。よろしく頼む」
     髪の毛の毛先が青い花と融合したその姿はなんとも不思議な見た目であるが、それに興味を示したのはベリアーだ。
    「わぁ、それってどんな原理で咲いてるんですか?土とかいらないんでしょうか?」
     つい気になってアグアに近付くベリアーにリュメルは制止をかける。
    「よくわからない物に不用意に近付くな」
    「よくわからないものとは失礼ね」
     リュメルの言葉に反発するように口を開いたのは、まさに純白といったような表現が正しいと思えるほど可憐な少女。
    「…レディ、失礼ですがお名前を伺っても?」
     リュメルの言葉に対してか、自分の置かれた状況に対してか、やや不満げな表情を浮かべる少女にトマスはにこやかに話しかける。
    「わたしの名前を?宜しいでしょう。ラズワードと申します…無理に覚えてくださらなくて結構です。所詮、既に一度死に絶えた屍ですから」
     ラズワードはそう言って用事はもう終わったと言わんばかりにひらりとベールを翻して近くの椅子へと腰掛ける。
     その姿に少し目を輝かせて「可愛い…」とミュリエルは呟く。
    「そして最後に…君は?」
     トマスは足が蔦と一体化している少女に話しかける。普段ホールの隅に置いてある椅子に座らせられていたため歩くことは叶わないのだろう。
    「わたし達の名前はステルベル。…よろしく」
     ほんの少しだけ微笑むその顔にトマスは笑顔を向けて「ありがとう」と感謝を述べる。
     一通りルルディ達の自己紹介が終わると、次はトマスが口を開く。
    「そうだね、私達もきちんと自己紹介しましょうか。私はトマス=ホース。この葬儀屋、アレイテイアの社長をしています。以後お見知り置きを」
     そう言ってルルディ達に向かって一礼をするトマス。それに続くようにリュメルが口を開く。
    「リュメルだ。…それ以外に言うことは特にない」
     リュメルの淡白な挨拶の後に続いたのはミュリエル。
    「私はミュリエル=バートリー。よろしくお願いしまーす!」
     簡単に挨拶を済ませたミュリエルは「ほら最後だよ」とベリアーに声かける。
    「私ですか?残念ながら名前がありませんが、皆さんは私をベリアーと呼んでくれますね!」
     
    「さて、今の所のお達しはこれだけでした。ディケーがしばらくここの近辺を巡回するみたいなので、続報があるまでとりあえず二人一組で一緒に作業をしましょうか。まだまだ残っていますから」
     人手はあるに越したことないですからね。そう言ってトマスは近くにいた二人同士を見て、頷く。
    「それでは、ベルくんはアグアさんと、ミュリエルさんはラズワードさんと、リュメルくんはレニーと一緒に動いてくださいね。さっきの続きをお願いします。…ステルベルさんは私と一緒に来てくれるかな」
     トマスはステルベルの方へと近付き、目線を合わせる。未だ表情が読み取りにくい少女の瞳はトマスの顔をしっかりと捉え、小さく頷いた。
     
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

     街から外れて山の方にひっそりとある廃教会。誰も寄りつかない、誰も使っていないような場所に数人の影。
    「最近またディケーの警戒が厳しくなってきている気がします」
     そう言って金色のストラを首元に直しながら褐色の青年–ダンテが声を上げる。
    「そうは言ったって、この蘇生技術をなんとかするためにはやっぱり動くしかないだろ?」
     顔に傷がある青年–ゼノが不満げな声を上げる。
    「でもヨォ、さっさと動かないと断捨離されてる人が増えてきてるし早めにうごかねぇとやばいんじゃね?」
     適当に積まれた木箱の上に座った青年–ジャムが気だるげに声を出す。それを聞いて背を丸めながら、大きな声をあげる紫髪の少女–アグネス。
    「ぁ、の!…私も、そう思う!…早くしないと…また色々な人が死んじゃう!」
     アグネスの訴えに頷きながらも、賛同し切らないような声をあげる金髪の女性–ラナは一歩前に出る。
    「でも、こう言う時こそ冷静にならないと…あまり下手に動いて私たちが捕まってしまうのもよくないと思うの」
     ラナの言葉に静かに頷くのは茶髪の少女–シェリルだった。
    「ラナさんの言う通りですわ、あまり無理をしない方がいいと思います」
     そう言って心配そうな目線をジャムに向ける。ジャムははにかんだような笑みをシェリルに向けて、立ち上がる。
    「でもなんとかしないとどうにもならないだろ!」
     そう言ってジャムは教会を飛び出すように走り出す。その背中をゼノが急いで追いかける。
    「ジャム!待て!」
     走って出ていく二人の背中を不安が残る目線でダンテは見つめていた。

    ━━━━━━━━━━━━━━━

    廃教会から葬儀屋までの距離はさして遠くは無い。
    しかし、ディケーの警戒が強まる中考え無しに飛び出した為思いのほか時間がかかってしまった。長居は厳禁と二人は目線で会話をする。

     数々の墓標が立ち並ぶ中、二人の人影が見える。
     車椅子に乗った少女–ステルベルと、その隣に立っているのはこの墓地がある葬儀屋–アレイテイアの社長–トマス=ホースだろう。
    「今あっちに集中してるみたいだから、こっちらへんで一人くらいは掘って持ち帰ろうぜ」
     ジャムがそう言って二人からは見えなそうな適当な墓を指さし、手に持っていたスコップで土を掘り始める。
     
    「…?トム、あっちの方で何か音がする気がする」
    「音?…またベルくんがサボってるのかな…」
     
     ジャムが必死に墓を掘り返していると、ふと何かにあたる感覚がする。
    「おっ、これこれ」
     スコップを近くの地面に突き刺して掘り起こした死体の土を手で払う。
    「…ゼノ、これって…」
     死体の顔を見たジャムは何かに気がついたようにゼノを呼び寄せる。
    「…妹だ」
     その顔を見たゼノは目を見開いて掘り起こされた墓の墓標を見る。そうだ、この墓だ。
    「よし、早速持ち帰って試してみようぜ!俺が土埋めておくから先帰っててくれ!」
    「…わかった」
     ゼノは掘り起こされた妹の亡骸を背に抱えて教会へと足を進める。
     ジャムがせっせと土を埋めていると、後ろから低い声が聞こえてくる。
    「墓荒らしは感心しませんね」
     声がした方を振り向くと、先程まで向こうにいたはずの二人が立っていた。
     ジャムはその顔を見て何かを思い出したように声を上げる。
    「あーれぇ、ジジイ久しぶりじゃーん!政府辞めたと思ったらこんなど田舎で死体埋めしてたのかよ!」
     ジャムの言葉に表情ひとつ変えずため息をつくトマス。
    「他人に対するその舐めた態度は相変わらずですね。…親の権力を振り翳しているだけの弱小もののくせに」
     冷たい視線を向けられたジャムは苛立ちを隠せない様子でスコップを握る。
    「は?弱くねーし、俺くんバカにしたらこんな小せぇ葬儀屋なんて父様の力で潰せんだからな!?」
     ジャムは握ったスコップを力一杯振り翳してトマスに殴りかかる。トマスは手に持っていた杖を掲げてなんとかスコップを受け止める。固い物同士がぶつかり合う感覚に少し手が痺れる。
    「ってぇ!ジジイのくせに抵抗してんじゃねぇよ!」
     手が痺れるのはジャムも同じのようで、顔を顰めながら吠えるように叫ぶ。
     トマスは未だ冷静な出立で、スコップを受け止めた姿勢のままそれを振り払い、杖のシャフト部分を握る。
    「いつまでも親の権力を振り翳して吠えているようじゃどうしようもないですよ」
     握ったシャフト部分を引っ張ると、銀色の刀身が現れる。その切先を鋭い瞳と共にジャムの方へと向ける。
    「その親の権力、いつまで使えるだろうか」
     トマスの鋭い目に怖気付いたジャムは必死に後退りをする。
    「ジジイ、俺くんに何か恨みでもあるわけ?俺くんたちがやってるのは救済、正義だぜ!?人殺しのディケー達が全部悪いんだよ!」
     ジャムの必死の叫びに微かに眉を顰め、「何を」と呟く。
     しかしその言葉の続きを聞く前にジャムは背を向けて駆け出す。
     一瞬の隙が相手に逃げる隙を与えてしまった。しかしこちらには頼もしい仲間がいる。
    「ッ、ステラ!」
     トマスの声かけに呼応するようにステルベルが近くにある石を浮かせてジャムの背中にぶつける。
    「イッテェ!」
     石がぶつかる痛みに声をあげてその場に蹲るジャムにゆっくりと近付き、その背を切り裂くべく剣を振り下ろす。
    「ッやめろ!」
     ジャムの叫びを聞きつけたゼノが踵を返してきており、トマスの目がその姿を見て微かに目を見開く。
     振り翳した剣は目的とした場所をわずかに逸れた。
    「ジャム!!」
     背中を切り裂かれ痛みで気を失ったジャムにゼノが駆け寄る。おぶっていた亡骸を地面に置き、トマスを睨みつける。
    「お前はまた俺の大切なやつを奪うつもりかよ…!」
     その目をトマスはまっすぐ見つめることができず、苦しそうな表情を浮かべる。
    「…ゼノ、」
    「俺の名前を呼ぶなよ、気持ち悪い」
     ゼノは息絶え絶えのジャムを背におぶってトマスを睨みつけながら駆け出す。
    「トム、逃げちゃう」
    「……あそこまでやればしばらく来ないでしょう。まずこれをまた埋めておかないと」
     ゼノが置いていった亡骸を見つめながら立ち尽くす。
    「トム?」
    「…ベルくん、やっておいて」
     杖を元の状態に戻しながらふと近くの茂みに声をかける。そこからはなんとも不機嫌そうな顔をしたベリアーが顔を出す。
    「バレてたんですか」
    「よく出てこなかったね」
    「ええ、まぁ。ボクがここにきた時にはもう社長がそれを抜いていたので」
     僕が出る幕もないでしょうと言わんばかりにトマスの杖を指差して笑う。トマスはそんな様子のベリアーを一瞥して「じゃあ、片付けておいてくれるかな」と社の方へと足を向ける。
    「貴方がやれば、…仕方ないですね、これで今日のサボりをチャラにしてもらいましょう」
     ベリアーは渋々と言った感じで掘り起こされた亡骸を再び眠りへと還すために足を向ける。
     
     
    「……報告は以上です」
     手に持っていた書類から顔を上げ、まっすぐにリコリスを見つめる。
    「ご苦労だったわ。…ヨーゼフ、君から見てアレイテイアがあちらに寝返る可能性は考えられそう?」
     ヨーゼフは少し考え、首を横に振る。
    「…今のところは」
     ヨーゼフの言葉に頷き、ディックマンが声をあげる。
    「私も今のところそう思うことはありませんね」
    「そう、…まぁ、今のところはそう思えるかもしれないけど、もしものことがあるかもしれないわ」
     リコリスの言葉にメーデが同意を示す。
    「そうですよね!もしもあいつらが何かをするようならこのメーデがなんとか!」
    「メーデももちろん、貴方達も彼らを徹底的に監視して頂戴。もし反乱するような素振りを少しでも見せたら...処理してくれて構わないわ」
     リコリスの命に三人が同時に頷く。
    「はい」

    報告が済んだため、執務室から出ようとした3人だったが突如として鳴り響いた電話の呼び鈴に足を止められる。
    「すぐに仕事を頼むことになるだろうからそこに居てくれて構わないわ。」
    リコリスは電話の内容を予知したのか、3人を呼び止め受話器を耳に当てる。
    「……はい。…………えぇ、そう。丁度頼める子が居るからお願いするわ。ただ、次回からそういったことは事前に連絡するように。」
    と、リコリスは少々呆れた表情を浮かべながら
    受話器を下ろし、3人へと視線を向けた。
    「ディックマン、メーデ、ヨーゼフ、今から研究室へ向かうように。」
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