たいみつ
珍しいな…と、思った。ちょっとした違和感。いつものクレープ屋の近くで待ち合わせてお決まりのように2人で食べてぶらぶら歩く。それがルーティンだと思って数年過ごしてきた。が、今日はクレープ屋には行かず、通りに面したカフェのしかも窓際の席。2階だからそこまで視線は気にならないが、いつもは『こんな高いところでゆっくりなんて出来ない雰囲気が無理』と言っていたのに。進んで入っていった。
俺としては、コッチの店の方がゆったりしたソファで旨いコーヒーとちょっとした甘味を寛いだ雰囲気で味わえて良い。外のガードレールで並んで食べるクレープも良いが…目立ちすぎる。
「で、どうしたんだ?」
「え?何が…?」
こいつ…三ツ谷隆はボーッと窓から外の景色を無意識に眺めて無言でいたことに気付いてもいなかった様子。
1005