月も星も、いつかは海底にー初めて貴方に憧憬を抱いたのは、ブリトンの首都、ロンドンでの事だった。
「…!?」
目の前の豪華な料理に角砂糖の雨を降らせるのは私と同じ海軍乙女の山本五十子だった。
こんなに美味しい料理に砂糖を混ぜるなんて、この子はなぜそんな事をする。そんなことを考えながらリボンの少女と目を合わせる。
「え?どうしたの多恵ちゃん?そんなに驚いて」
「…なんでステーキに砂糖を盛るの!?」
少女はこちらに顔を向けたが未だに、砂糖を盛る手を止めようとしない。
「えっとね…私はとても甘い物が好きでね、何にでも砂糖をかけちゃうんだ…えへへ、おかしいよね!」
彼女は茶色髪の毛を揺らし、微笑む。
その微笑みは明るくて、優しくて、眩しかった。怒りや、悲しみなんてすべて優しく包み込んでしまう。そんな笑顔だった。
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