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    amam1y000

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    amam1y000

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    一応原作読んでなくても読める…と思います

    ⚠️本編未登場キャラ&未登場キャラの口調捏造⚠️
    ⚠️史実展開&捏造エピソード注意⚠️
    ⚠️文章力皆無⚠️

    月も星も、いつかは海底にー初めて貴方に憧憬を抱いたのは、ブリトンの首都、ロンドンでの事だった。
     
    「…!?」
     
    目の前の豪華な料理に角砂糖の雨を降らせるのは私と同じ海軍乙女の山本五十子だった。
    こんなに美味しい料理に砂糖を混ぜるなんて、この子はなぜそんな事をする。そんなことを考えながらリボンの少女と目を合わせる。
     
    「え?どうしたの多恵ちゃん?そんなに驚いて」
    「…なんでステーキに砂糖を盛るの!?」
     
    少女はこちらに顔を向けたが未だに、砂糖を盛る手を止めようとしない。
     
    「えっとね…私はとても甘い物が好きでね、何にでも砂糖をかけちゃうんだ…えへへ、おかしいよね!」
     
    彼女は茶色髪の毛を揺らし、微笑む。
    その微笑みは明るくて、優しくて、眩しかった。怒りや、悲しみなんてすべて優しく包み込んでしまう。そんな笑顔だった。
     
    同時に眩しすぎて誰も追いつけない、この人の代わりなんてない、千年に一度の大提督に将来なるような気がした。
     
    「…というか多恵ちゃんも、そんなに料理盛って大丈夫?食べきれる?」
     
    はっとしてテーブルに目を向けると、"それなりに"盛られた様々な料理が置いてある。 
     
    「まあ…大丈夫なの!多恵ならこんくらい朝飯前なの!」
     
    (そんなに食べて明日大丈夫かな…)
     
    「余裕余裕!」
     
    このくらいならなんとか食べ切れるだろう。再びフォークとナイフを握り、料理に手を付けた。
     


    ー貴方には絶対に追いつけない、そんな事は分かっていたはずだ。でも、あなたになりたかった。脳裏にまた、もう戻れない過去が浮かぶ。
     
    「もぐもぐっ…!?たばねえの焼き鳥、今まで食べたどんな料理よりも美味しいの!!!」
     
    「…これは…とても美味しい…!美味しすぎないか!?」
     
    口に広がるのは懐かしい焼き鳥の味、同期のはしゃぎ声、遠くから吹くのは心地良い潮風。記憶の限り、ここはおそらく兵学校の裏庭だろう。
     
    「…喜んでもらって嬉しいな。あ、醍醐の姫様も食うか?」
     
    部屋から持ってきた椅子に腰掛ける彼女に束は話しかける。
    この裏庭にいるのは私と大西と束、そして醍醐だ。
    醍醐は有名な華族の生まれで、兵学校では何事にも全力で取り組み、品行も良いと評判だ。そんな優等生の彼女がなぜここにいるかと言うと
     
    「ありがとうございます宇垣さん。貴女の話に興味が出ましてね、私も食べてみたかったんですよ、焼き鳥」
     
    そう、休み時間に束が私に話していた焼き鳥トークが偶然、大西や醍醐の耳に入り、焼き鳥会が開催されたという訳だ。
    厳しい華族の生まれで、あまりそういう物を食べた事がないという彼女は束から焼き鳥を貰い、お行儀よくいただきますをしてからほんの少しだけ口を付けた。
     
    「…えぇ!?なんですかこれは!?とても美味しいですの!!」
     
    感嘆の声を上げ、目を輝かせる。
     
    「そうでしょ!すごい美味しいと思わない?」
     
    場が賑わう中、少しずつ二人の足音が近づいてくる。
     
    「…なんですかこの騒ぎは…?」
     
    「…もしかして幽霊…って」
     
    振り返った先にいたのは同期の八代と福留だった。
     
    「ちょっと何をし」
     
    「宇垣さんっ!私達も混ぜてください!」
     
    八代の手を引き、福留がこちらに駆け寄る。
     
    「ああ、いいぜ。人が多い方が楽しいもんな」
    「…ありがとうございます!とりあえずどれを取れば」
    「鳥皮なら余ってるぞ」
    「宇垣!おかわり!」
    「多恵も!」
    「…なんかすごいですね」
    「…ほんと、賑やかですわね」
     
    ちなみにこの後騒ぎすぎてこの事が教官にバレて、この6人はめちゃくちゃ怒られるのであった。
     
    ー青春やって、勉強して、鍛えて、みんなと仲良くできて、なにより平和で。案外、この頃が一番幸せだったかもね、福留も、醍醐も大西も束も、今の私を見たらどう思うだろうな。
    ー祐子、八代祐子。もうすぐそっちに行くからね。

    情景は移り変わり、大好きな生家へと変わる。
    手元にはいつか読んだ絵本があった。
     
    「…へえ、すごいの!たえもいつか、ていとくに…」
     
    気がつけば、そこは何回も見てきた食卓で。
     
    「多恵も、いつか大楠公のような人物になってほしいな」
    「だいなんこう?だれなのそれは?」
    「大楠公は楠木正成って人でね、主君を守るために命を賭けた、凄い人だ」
    「へえ!たえもいつかそうなりたいの!」
    「山口家…楠木家の子に生まれたからにはね…でもこの子には誰からも愛される子に育ってほしいわ」
     
    ー家族と過ごした楽しい日々、どうせもう戻れないのに。
     
    「多恵は貴女になりたかったの、でもなれなかったの」
    夜空の月に手を伸ばす。それは半分だけ欠けていた。
     
    どうせ今のままだとこの作戦は失敗で終わる。この艦も、この子達も、私も、水底に帰ってしまう。そんな事は分かりきっていた。
    でも、諦めたくなかった。
     
    「…あなたが、みんなが希望を与えてくれたからなの」
     
    まだ勝てる可能性はある。
     
    「帽振れーーっ!!!」
     
    空に飛び立って行く少女達を見送る。自分より年下の少女が死にに往くというのは、いつ見ても心が苦しくなる。
     
    「…大丈夫、多恵も後から追うの」
     
    ー最期くらいは、綺麗に華を咲かせていくの。ねぇ、飛龍。
     
    覚悟は決めた、後は人生の千秋楽を狂ったように楽しもう。
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