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    gorogoro_giri

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    gorogoro_giri

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    人外ホイホイなイ神と息子のジュナと飼い猫のジュオの現パロ、イ神の職場に忘れ物を届けに行ったらなんかいた話

    神様の睨み合いその日は学校が開校記念日でアルジュナは平日の昼間を自宅で過ごしていた。たまにはといいだろうと何の予定を立てる事も無く読みかけだった本を読んだりテレビを見て過ごし、さて昼食をと冷蔵庫を開いたら弁当箱が入っていた。
    「これは……」
    「おや父様の昼食が」
    肩からオルタが顔を出す。見間違いで無ければそれはインドラの弁当箱で、アルジュナが使っている物よりは小さい――段数が少ない――インドラは体格は良いが人生相応に食事量は変化している――そしてアルジュナは食べ盛りの育ちざかりかつインドラの食べさせたい欲のおかげで友人から毎日よく重箱持って来てるよなと感心されている――ものだ。インドラは子供に炊事を任せる事はしないと言い張って日々アルジュナやオルタに食事を振舞ってくれていて、新しい家族が増えたからなのかレパートリーも増えたとオルタが言っていた。
    アルジュナが来る前、そしてオルタを拾う前、インドラはこの広い家で一人暮らしを数年続けていたらしい。きっと寂しく過ごしていたろうに、建売の家も賃貸も、インドラが暮らすにはやや狭すぎるのだから悩ましい。母国の家に比べると四分の一も無いと言うのが驚きだが、そんな家の家主が料理も掃除も洗濯も、家事の全てをこなしている現状は面白いなと思わざるを得なかった。
    そんな訳でアルジュナはお手伝いというものに燃えている。機会を与えられないので時折許しが出ると何もかもをやりたくなるのだ。冷蔵庫には忘れ去られた弁当箱。今は昼前、インドラの職場までは電車で行けばそう時間がかからない。
    「オルタ、ちょっと出かけて来ますね」
    「ずるいです私も行きます!」
    そうしてアルジュナは鞄にインドラの弁当を入れ、そしてリュックサックに入ったオルタを背負い、いざインドラの働く大学へ向かったのであった。

    ***

    事情を説明して広い大学構内を少しずつインドラに近付きながら進んでいく。職員や学生達に案内されてようやく辿り着いたインドラの研究室で、アルジュナは荷物を下ろして待っていた。案内してくれた学生曰くまだ講義中との事で、少し覗いてみるかと言って貰えたが仕事の邪魔をしてはいけないと断ったのだ。静かな室内でほうと息を吐く。本や資料が山のように積まれていて、ほんの少し息苦しくて、自分のものでは無いのにとても誇らしかった。
    「見学したかったです」
    「オルタ……父上の事ですから、絶対に見つかりますよ」
    「嫌がる方ではありません」
    「そうでは無く。喜んでくださってそのまま講義が脱線してしまったら学生の方々に申し訳ないじゃないですか」
    「……一理あるとしか言えませんね」
    認識が一致した所でオルタが一度リュックサックから出る。息子は一人なので二人で来ると混乱を招くかもしれないと思っての猫姿だが、この場に猫がいるのももしかしたら問題なのかもしれない。オルタは気ままに本棚に乗って探検していて、そうするとインドラが著者として記されている本が並んでいる棚を見つけてしまいアルジュナもオルタも慌てて手を伸ばした。父の本がいっぱいある部屋だとはしゃいで捲っていたら、ふと何か物音のようなものが聞こえた気がした。
    「オルタ、何か音が……えっ」
    「下がりなさい」
    気付けば本棚の上の猫は前に立つ青年と化していて、アルジュナが疑問に思う前に急接近した物音の正体は研究室に飛び込んで来た。
    「待ちやがれヴリトラァ!」
    これは父の声。姿は見えない。
    「目を瞑っていてください」
    これはオルタの声。一瞬の強い明滅が起こる。
    そしてごとんと痛そうな音が耳に届いた。何があったかわからないが、オルタの足元に一人女性が倒れていて、倒れていてと言うかオルタに踏まれていた。
    「ぐぅ、相変わらずの挨拶じゃのう……じゃが今日のわえはそこの童に用があるのじゃ、齧ったらインドラのやつ良い声を出すじゃろうのう!」
    「我が父のみならずその愛し子にまでも害を成すか、邪竜。目溢しをくれてやっている慈悲をゆめ忘れるな」
    「アルジュナ無事か!?来て……オルタ学内では色々仕舞え」
    「はい父様」
    オルタは猫になって女性は立ち上がった。立ち上がったら駆け込んで来たインドラに頭を叩かれていた。もしかして同類なのかとインドラの肩の猫と向き合う女性とを見比べるが、愛も変わらずインドラの接し方が変わらなさ過ぎて判断出来ない。
    「アルジュナ。これに何もされなかったか」
    「はあ、される暇も無かったと言いますか……」
    「オルタも変なモン食うな。腹壊したら大変だろ」
    「にゃあん」
    「どこからその毛皮持って来た?上等な猫被っとるのー」
    爪と悲鳴と拳と爪とで猫と人間の喧嘩が始まる。慣れているのかインドラはそれを置いてアルジュナに近付いて来てくれた。優先順位は私で本当に良いのだろうかと思ってしまった。
    「して、用があると聞いたのだが」
    「昼食をお忘れのようだったのでお届けに参りました。間に合って良かったです」
    「う、うむ。そうか。……おまえ達は済ませたのか?まだなら食堂にでも行くか」
    「わえがピザ頼んでやろうか!?百枚頼んで食べ終わるまで出られない部屋にしてやるぞ!」
    「オルタ食っていいぞそれ」
    「にゃっ」
    インドラが人間を雑に扱っているのは初めて見たので珍しい人がいるものだと思いつつ、飼い猫の腹を心配しつつ、先に行ってるぞとインドラはアルジュナを連れて学生食堂に向かった。本人不在で紹介されたヴリトラという女性の事も、その時はまだただの賑やかそうな人だと思っていた頃の話だった。
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    gorogoro_giri

    DOODLE酔っ払いなイ神と苦行を強いられているジュオのジュオイン ※イ神が相当にだめ(方向性はわがままプリンセス)
    うるうるでとろとろ「アルジュナ……♡」
    旋毛に顎を乗せて、うっとりと抱きしめて。かと思えば頭に頬擦りして、顔を撫でて、耳元でかわいいなと囁いて。――絶対に後で苦行だったと言う。アルジュナ・オルタは心に決めた。酔ったインドラが自分にどんな苦行を強いたのか、必ず伝えてみせるのだ。
    アルジュナ・オルタの自室にインドラが訪ねて来るのは実は珍しい。普段はアルジュナ・オルタの方からインドラを訪ねているし、穏やかに過ごす事も無くは無いが、自然ベッドに向かう事も多い。そうなるとやはりインドラが自分のために誂えた大きなベッドの方が無理が無く、ならばと逢瀬にはインドラの自室を使う事が殆どだった。
    インドラは自分から甘える事が苦手なのかもしれないとアルジュナ・オルタは考えていて、己の立場だとか、そもそも父である事だとか、アルジュナ・「オルタ」の複雑な背景だとか、後は性格だとか。構って欲しい時も口にする事はせずにこちらを目だけで伺っているだけで終わるような。察するに遊び上手の癖に恋をするのが下手なのだ。自分だってそんな記憶は遠すぎて作法のひとつも思い出すのには苦労するが、インドラのそれとは桁が違う。
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