私は蒼き狼、二角の皇帝、古の誓いの継承者遥か彼方、我らが地球よりも遠く、
天の川銀河を越え、星団をも越え、
幾億もの宇宙のしずくと、無限に伸びる根の如き並行世界の彼方――
そこには、ひときわ特別なる宇宙があった.
その宇宙には、我らの星に似たひとつの惑星があり、
その名もまた「地球」と呼ばれていた.
その地は、我らの地と寸分違わぬ地――
太陽と月を巡る同じ星々の環、
時を刻む法も、信仰も、預言者たちも同じく、
人々の名も貌も、現実の理すら、まるで鏡のごとく重なり合っていた.しかし一つだけ異なっていたのは――
そこに生きる者たちの歩み.
それは反対ではなく、ただ違っていた.
古代、遥かなる太初の時代において、
彼らは異なる選択と行動を積み重ねていたのである.
そこにもまた、戦争があり、平和があり、争いがあり、人の文明が芽吹いては繁栄し、滅びてはまた甦った.だがただ一つ、異なっていたのは――
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