EnDワンドロ「花」ノア 17才 ルク 16才
吐き出すー。
「う”っ…くっ”…っ…!」
相手を思う気持ちも、
「くそ…っ…う”っ…」
それを伝えられないもどかしさも、
「は、は、…っ…」
それがとても苦しく、辛かった。
「はぁ…はぁ…今日はやけに止まらなかったな」
自室のお手洗いに俯くノアは、さっきまで吐き出したアネモネの花びらを眺めながら呟く。
体力を使ったのかそのまま床にしゃがみ込み、頭を抱えながら深いため息をついた。
ー花吐き病。
それは、強い片思いから患うことがある奇病。
恋愛なんてそんなものとは無関係な殺伐と偽りの日常を送っていた身として、初期症状を発症したときは心底驚いた。知識だけしか知らなかったその病気はやはり奇病と言われるだけあって治療法がない。出来ることは進行を遅くすることくらいだ。或いは、想い人と実った時、自身から花びらではなく綺麗な花を吐き出すことで完治するらしい。
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